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二次創作、版権に絡んでおります。 やおいが分からない方、嫌いな方は訪れないことをお勧めいたします。申し訳ありません。 pc・携帯両用サイト。 (検索避けスミです)

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要注意:ネタばれあり><


 こんばんは。
 今日はサマウォ充の日。
 泣いてる姿を見られることと、茶々いれすぎる母と見ることに抵抗を示して、
とりあえず一人でガン見した今日の午後。

 泣くよね、あたしだけじゃないよね。
 タオルを用意するの忘れて、ティッシュで目元を拭いてました。

 お願い、誰か本当に助けて。
 あたし、サマウォが好きすぎて困るの。

 だが、まだまだ泣けるうちが花。
 これからも趣味にさせてください。 サマウォ。

 ということで、今日の上映後に書いたのは―――なぜか侘介。
 (嫌いなわけじゃないよ?)
 健二さんたちは、だいぶ救済してきたからか、まだまだ手を出してなかった男の出番です。

 原作の展開。セリフが入っています。
 ネタばれ混じっています。

 嫌な方は、静かに閉じましょう。

 版権に関与といえど、引用が多すぎるというのであればいつでも引き上げますので、おいいください。(ぺこり)


 【罪と贖い


 




「罪と贖い」

              2010.03.05.…BLD初見

 

『家族へ』

 

 それは、遠くへ逝った愛しい人の最後の言葉。

 もう会えない。

 

――――偉大なる慈母の言の葉。

 

 

 

 

 

「――――あんたには、これを読む権利があるわ、侘介」

 傷だらけの帰宅。

 小さかったはずの夏希に教えられた、母の逝去。

 ただ一人だけ信じ続けていたのは、朝顔の咲く夏に迎えにきてくれた人。

 逢いたかった。

 ずっと、逢いたくて。

 それでも、あの人の血を引かない自分が哀しくて。

 ――――――あの人に褒めてもらえる自分になりたくて。

 家を、故郷を、国を。…離れた。

 白い無地の角封筒。 開封された後もそのままに手渡された。

「…おばあちゃんの、願いを叶えてあげてちょうだい」

 たぶん、この家の住人の中で、もっとも侘介を嫌っていた陣内万里子がそれを手渡した。

 侘介にとっては異母姉である万里子は、本家の長女であったがために、父親の不義によって新しく現れた異母弟をひどく嫌悪した。

「………」

 懐かしい栄の直筆。柔らかな女文字の風情を残しながら、その人の性格を表したように伸びやかであり、すっきりと夏の青空のような爽快さを感じさせる文字が、そこにはあった。

 するりと、万里子が席を外した。

 まだ壊れたままの頭の内で、ぺたりと座りこむ場所を探す。

 誰もいない場所であることを確認してから、侘介は青の畳に座りこんだ。

 藺草の匂いが、―――どこか遠い。

 衝撃はまだ収まっていない。

『―――栄おばあちゃんが死んだの』

 昨日の混乱がまだ残る交通網。

そして、祭りの交通規制にひっかかり、上田の近くで過ごしていたことはよかったのか悪かったのか。

 忘れていった携帯のパスコードを解いて、その報せをよこしたのは栄に続いて侘介になついていた夏希だった。

 幼い夏希に、なぜこんな嫌われ者にかまうのかと聞けば、『おばあちゃんが一緒に遊んでおいでっていうんだもの』と天真爛漫な笑顔で述べた。

 悪気のないその言葉に呆れつつも、戯れに遊んでやったのは昔の話だ。

 ぱらりと、どこまでも白いその手紙を広げた。

 昔の人ならではの縦書きの便せんに、喪ったとまだ認めたくないその人の言葉が綴られていた。

 

 

 

 

 

『家族へ。』―――それは、そんな冒頭で始まった。

 あの人らしい、現実に即した文面を締めた後。 愛しい過去の思い出が語られていた。

『―――朝顔畑の中を歩きながら、『今日から家の子になるんだよ』って言ったら、あの子は何も言わなかったけど、手だけは離さなかった。あの子をうちの子にできる、私の嬉しい気持ちが伝わったんだろうよ――――』

 思い出を覚えている。

 たった一人の家族を亡くして、身内とは認めてくれない親族の元へと連れて行かれた。

 独りだと思った自分の悲しみと悔しさが、あの言葉で報われた。

 口をつぐんで、その人の細い小指を握りしめていた。―――たった一つの絆なのだと思っていた。

 返事を返すのは、唇を噛んで嗚咽をこらえることしかできなかった自分には無理なことだった。

 思い出は蘇る。けれど、全ては終わってしまったのだ。

 ――――自分が行ったことの、結果として。

 

『心臓が弱ってたの。OZの混乱のせいで万作叔父さんがすぐに手当てできなかったの』

 

 夏希がよこした報せの中で知ったのは自分の償えきれない罪の重み。

 OZの混乱――――それは、侘介と無縁ではない。

 なぜならば、それは侘介の開発したAIが行った所業であったからだ。

『俺は何も知らないよ。おれは、ただ開発しただけだ』

 昨夜の宴席の家で告白したそれは、間違いなく侘介の本音だった。

 開発しただけ。借りただけ。――――願って、手に入れようとしたのは、たった一人の愛。

 たとえ、それが反対の結果を招いたのだとしても。

 このときまで、侘介は自分を反省する必要はないのだと思っていた。

 だって、そうだろう? ――――自分は、何も悪くないのだから。

 ……嘘だ。

 栄の訃報を聞いた侘介は思う。

 ああ、これは報いだと。

 誰よりも、大事な人が身を持って教えてくれた。

 ―――――これは、間違いなく自分の罪だ、と。

 育てた雛が飛んでいったのは、世界の箱庭。

 それは、世界の全てを凝縮した―――営みの地。

 命がそこで保たれているなんて、貴女の命が護られていたなんて。

 

「――――分からなかったんだ」

 

 

 

 

 

『―――家族同士、手を離さぬように、人生に負けないように、―――――一番いけないのはお腹がすいていることと、一人でいることだから――――――――』

 栄の最後の言葉は言う。

空腹と孤独。―――――そんなものが、何だと言うのか。

それは侘介にとっての日常であったのに。

滲む目の縁が、その後に書かれた言葉を読みにくくする。

 

「―――ああ、そうだね、ばあちゃん」

 

まだ会っていないんだった。

 帰ってきた、この家に。

 あの人の住んでいたこの家。

 望んでいた、――――魂の帰りゆく故郷。

 

 

 

 

 

「―――ただいま、ばあちゃん」

 

 冷たい氷の柱が乱立する部屋で、その人は眠っている。

 答えはもう届かない。

 貴女に甘え続けた、侘介の子供時代がいまようやく終わる。

 

「――――待っていてくれ、いま、決着をつけてくる」

 

 零れそうな涙は、まだ溢れるには早いから。

 

「――――償いは、そのあとだ」

 

                        了 by御紋

 

 

 

 ――――涙が止まらないんです。

 ようやく届いた原作様を見て、いつかは書こうと思っていた侘介と栄おばあちゃんのお話を書いてみました。(ネタばれありです、すいません)

 なんていうか、すごく愛しいんですよね。この二人の関係性は。

 萌えを通り越して、涙が出る。

 40を通り越してから、その人の人格や生き癖というものが変われるとは思えませんが、それでも、あの知らせを受けたとき、ようやく侘介は自分の罪を把握したんだと信じています。

 

 

 

「―――――私はあんたたちがいたおかげで、たいへん、幸せでした」

 

 …ばあちゃん、それは私たちが言いたい言葉よ?

 

  原作様の台詞を含んでおります。勿論、追加部分も多いですが。

万が一、不愉快で在りましたらメールフォームなどにてお伝えください。

即行で下げさせていただきますので。(ぺこり) 

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活字中毒の自覚ありです(笑)。
映画「サマ―ウォーズ」が大好きです。
健二さん至上主義。カズケン信者。栄さま神格化傾向あり。――――――です(笑)。

こちらでは、二次創作を展示させていただきます。
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