忍者ブログ

二次創作、版権に絡んでおります。 やおいが分からない方、嫌いな方は訪れないことをお勧めいたします。申し訳ありません。 pc・携帯両用サイト。 (検索避けスミです)

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

お土産っていったら…あ、七味?


 原作突入。

 栄さんにあったら、逆行健二さんは絶対こうなると思うんだ。

 ていうか、私だってそうなるやい。;;


 佐久間、ふぁいふぁい(笑)


 最強健二さんの改変シリーズv


 

 

「会いたかった、それが夢でも」

                      2010.04.16.

 

 

 

「―――夏希」

「おばあちゃん!!」

 元気だったかい?

 手を握り合う、仲のいい祖母と外孫。

 思いあった、家族という名の繋がり。

 

 いつかを思い出す光景に、心が揺れた。

 

 

 

 

 その日は、確かに来た。

「――バイト、しない?」

 駆けこんできた夏希先輩に「なんでもします!!」と叫んだのは健二自身だった。

「――ちょ、だったら俺も行くよ!!」

 慌てた佐久間が手を上げたが。

「―――佐久間はバイトがあるだろ? ねえ、チーフ」

 目の前のOZの守備点検のバイトを見ながら告げた。

「だ、だったら。健二だって!!」

 焦った眼鏡は、死なばもろともとばかりに叫んできたが。

「…忘れたのか? おれはただのバイト。――一週間だけの、ね」

 しかも、明日までのな。

 カキ―ン。

 グラウンドの方から、野球部の連中がホームランを打った音が聞こえた。

 まわれまわれー。

 よーし、ホームラン!!

 叫んでいるベンチの連中の声も聞こえた。

「―――土産はなにがいい?」

 泣きそうな顔で座りこんだ親友に、言葉をかけた。

 

 夏の青春を、蒸し暑い東京で一人過ごすことになる友人に、最大の敬意を払いたい。

 

 

 

 

 

「――――なに? その荷物」

「必要物品です」

 最大サイズのカートが二つ。

 ごろごろごろと、それを引きながらやってきた健二に対して、夏希はひきつった笑顔を浮かべた。

「ゆとりはあるので。――夏希先輩の荷物も詰めますか?」

 夏希の足元に積まれている小道具類を見つめながら言った。

 ―――あの荷物を小包にしなかった理由については聞いたことがある。

『――おばあちゃんには内緒なんだよ? 荷物なんかで送ったらばれちゃうじゃない』

 おばあちゃんに。

 嫁は、そう語った。

 …待ってくれ。――いやあの、万里子さんあてにして品名書かないとか。太助さん宛にしておいて、本家まで車で届けてもらうとか方法はあったよね?

 というより、隠してる気だったんですか?

 栄さんのお誕生日パーティー。

 だって、もろ歌の練習、聴こえてたよね?

 あの不協和音だったハッピーバースディの歌声。

 ―――突っ込んだ瞬間、泣かれるのか怒られるのか。…あるいは、さげすんだ目で見た後、無視られるのか。

 怖かったので、その突っ込みは当時の健二には出来なかった。

「――天然だったからなあ」

 嫁。

 過去の会話を思い出しながら、半分以上はわざと空っぽにしてきたカートに夏希の荷物を押し込みはじめた。

 

 

 

 

 

「―90歳のお誕生日、おめでとうございます!!」

 …とは、言わなかった。

 玄関まで迎えに来てくれた万里子さんはどうみても90歳というには、まだ若かった。

 いやいや、過去の自分に言ってやりたい。

 おまえは、あの一言で人生の半分を愚痴られる羽目になるんだぞ、と。

 ――さりげに根に持った万里子さんに、酒が入ると怒られた過去を思い出しつつ、そう回想した。

 久しぶりに入った陣内家は、どこもかもが懐かしい記憶のままで。

 初めてきたわけでもないのに、きょろきょろと辺りを見回していた。

「――こっちよ」

「あ、はい」

 促されて、小走りに走った。

 ――にしても。

 広いよなあ。この家は。

 栄の私室のある離れに辿り着くまで、あと三十五秒だ。

 

 

 

 ちゅんちゅんちゅんちゅん。

 小鳥の囀る声がうるさい。

 年をとって、歯が抜け落ちているハヤテが食べこぼした餌を食べてるようだと聞いたのはいつだったか。

 …ハヤテ。

 哀愁を込めた目で、みんなでじっとハヤテを見つめたのを覚えている。

 まあ、昔の話だな。

 からりと障子を開ける音。

「おばあちゃん、夏希が着いたわよ?」

「――お入り」

 老女の声が聞こえた。

 

         ――どくん。

 

「おばあちゃん」

「…よく来たね、夏希」

 詰め将棋でもしていたのか、本を置いて陣内家15代目当主――陣内栄が老眼鏡を外した。

 繰り返されるその光景。

 

 ああ。

 ああ、―――あああ

 

「…あのね、こっちが………健二、くん?」

 驚いた声だった。

「――どうしたんだい?」

 不審げに響いたのは、栄の言葉。

「――え?」

疑問符を浮かべた健二の声は、涙で彩られていた。

 

 

 

栄さん、栄さん、栄さん。

――――あなたに、逢えた。

 

俺たちの、神様―――「ばあちゃん」。

 

 

 零れ落ちる雫を止めるすべは、ない。

 

 

 

     会いたかった。

 

 

 

               了 by御紋

 

 

 

 長めになっちゃいました。

 健二さんは、いろいろと思いだすことが多すぎます。^^;

 三兄弟が「さっすが、おれたちのばあちゃん」と呼ぶのを聞いて。

 さっすが、「私の神様」と呟きたくてたまらなくなる御紋です。――だって…;;

 

 

 

拍手[3回]

PR
COMMENT
NAME
TITLE
MAIL (非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS (コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます
 
TRACKBACK

TrackbackURL

  
倉庫の整理整頓をした日。
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
拍手文は、2つ。
最新記事
プロフィール
HN:
御紋(ごもん)
性別:
非公開
職業:
会社員(夜勤あり)
自己紹介:
活字中毒の自覚ありです(笑)。
映画「サマ―ウォーズ」が大好きです。
健二さん至上主義。カズケン信者。栄さま神格化傾向あり。――――――です(笑)。

こちらでは、二次創作を展示させていただきます。
著作権は御紋にありますので、個人で楽しむ以外に、ネット他に使用することはおやめください。
(二次配布、禁止ですよ)

御紋の生息地は、ついったです。
(ツイート非公開:アカウント → gomonn)
フォローはご自由にどうぞv
 

バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
Copyright ©  -- 「御紋」(ごもん)ですが? --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by petit sozai emi / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]