キャラ壊れたっていいじゃないか。単独作品つーかネタ⑩

「超訳しすぎると意味不明なんだろ、知ってるよ！　」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１０．１１．２４　．

　　　×　年齢操作あり、侘介ファンは要注意です。

「へえ、君がキングカズマかあ。初めまして～」

　聖美ちゃんとこの子だったんだ、へえ。

　納戸の奥で、回線をいじらせてもらった。

　目の前には、なにやら不機嫌な右目をかくした少年が一名。

「取引先に言うみたいに言って」

　回線を借りに来た俺に対して振り向いた少年は、なるほど陣内家の男らしいかなと思いましたねえ。

　根性だけは人一倍あるのが、彼等の特徴です。

「少年、俺は取引先になりたいんじゃない。――　共犯者になろうと言いたいんだよ」

「……は？　」

　守りたいものは、自分で守れよ。

　それが、この家の家訓だろう？

「敵討ちだ！」

　
　そう言った万作さんの言葉は、女性陣には受け入れられなかった模様。

　呆れたと言い募る彼女たちに、俺も追随してしまえ。

「すいません、万里子さん。――　俺も馬鹿な男なんですわ」

　挙手して言ってみた。

　呆れた顔は、怒りながら去っていった。

「――　あんた、どういうつもり？」

　佳主馬くんはそう言って、怪訝な顔をこちらに向けてきた。

　リビングに残った男たちは同じ顔でこちらを見ている。

「そうだねえ、とにかく…やっちゃったもん勝ち？」

　この頃流行りの超訳とやらで答えてみた。

　もちろん、誰にも通じなかったようだが。

「ようは、奴を捕まえて閉じ込めればいいんだよ」

　ユーアンダ―シ―？

「敬、手伝ってくれないか？」

　がたんがたんと部屋のなかの障子が外されていく。

　拡張工事もどきは、太助の腕一本にかかっているといっても間違いない。

『健二くんは、本当に昔から変わらないよねえ』

　ニッコリ笑顔で言われたんだが、あれはどういう意味だろう。

　いざというときには太助に頼り切っていた記憶があるだけに、ちょっと後が怖い。

【健二さん、何する気ですかあ？？】

　回線を通した先で、くらくらした顔で佐久間少年が返事した。

　おそらく、ＯＺのバイト先でこき使われてるんだろう。あのやろう、容赦ねえからな。

　佐久間敬のバイト先のペンギン上司に対して、大いに含んだものがある小磯健二だった。

「うん、あのね。挑戦状って男のロマンだと思わないか？」

【…………はい？】

　なんかおかしなことを言われた。

　顔の表情筋だけでそんな風に表現された気がします。失礼な奴だな。

　ちなみに、右に座ってる某少年は表情筋もさることながら一歩身体をのけぞらせるという明らかな拒否反応までも示してくれた。うん、せつない。

「挑戦状を出したいんだ。―――キングカズマからラブマシーンへ」

　あまりに切ないので、ぐいと無理やり佳主馬少年をこちらへと引っ張ってやりました。うん、大人げないって知ってる。

【健二さん。――何でいきなりそうなるんですか、キングからって…】

　キングは何処にいるかもしらないでしょー。

　呆れたというよりどんな冗談だと思ったらしい年の離れた友人は、甘味飲料を片手に笑った。

「――ボクがキングだから」

　抱え込まれたのに抵抗することをあきらめたらしい佳主馬少年が補足してくれた。やあ、空気読める子は小父さん大好きです。

【はは、そりゃ笑うわ】

　ストローで喉つかすぞこら。

　大人げないことこの上ない感想は、幸いにも音にはならなかった。

【…ガチで？】

　真剣な顔で画面越しで相対し合う将来有望な若者たちを横目でみます。

　いいねえ、未来ある少年は。

　とりあえず、敬の質問にはこう答えようかね。

　うん、ガチです。

　中央塔にてお会いしましょう、愛しき永遠の子供。

　君が孤独にならぬように。

　君を生んだ親の責任は、君を幸せにすることだと知っているから。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　了

[2回]