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勘ちゃんを愛でてみた。
という、勘ちゃんを愛でるシリーズ。
落乱ってさ、書こうとすると重い話になれるから、はまりやすいジャンルだよね。――たぶん、また書く。orz
「笑った顔に、怒った顔に、泣いた顔」
                       2020.05.14.
尾浜勘右門が、風邪をひいた。
 怖ろしく根性のある風邪だというのは、上級生側の教室における噂だ。
「――勘ちゃん、大丈夫か?」
 やってきたのは、心優しい五年い組の久々知兵助。
「――うん、大丈夫」
 せんべい布団の敷かれた忍たま長屋の一室。
 尾浜勘右門の部屋は相方不在で、ただいま独り部屋だ。
 鼻はぐすぐす。
 顔は真っ赤。
 つめたい冷水のはいった桶には、換えの白い手ぬぐいが沈んでいた。
「――今日は、校外実習だろ?」
 行ってきなよ。兵助。
額にあてた濡れた手ぬぐいを片手で押えながら、勘右門は揺らぐ身体を起こした。
 紅潮した勘右門の顔は、笑顔だった。
「でも…。勘ちゃんが」
「大丈夫」
食堂のおばちゃんが様子を見に来てくれるし、小松田さんや新野先生だって顔だしてくれるよ?
にっこりと、いつもの笑顔で勘右門は笑って、友人を送りだした。
こほこほこほ。
 咳がこぼれたので、勘右門は再び床についた。
 こぼれてくる、外の緑の葉っぱの揺らめく音に、一年生や二年生の下級生たちが、校庭で遊んでいる声が聞こえた。
 見える障子に映る緑の影が、――どこか懐かしい気がした。
 視界が歪んでいる。
 また、熱がぶり返したのだろうか。
「――どうしたんですか?」
 珍しい。
不意に勘右門は声をかけた。
 部屋には、誰もいないはずなのに。
「………」
はらり、と音のない音がして。
 黒い忍者服が見えた。
「――これから、実習でしょう?」
 木下先生。
熱で潤む眼をなごませて。
 自分の学級の担任に声をかけた。
「――――」
近づいてきたその人の顔は、笑顔を忘れたように怖い顔。
 だってそれは仕方がない。
 あの人は、それがもう基本の顔になってしまっているのだもの。
「―――尾浜」
「はい、先生」
静かに降ってきたその声に、笑顔で返事をする。
 静かな気配が、病んだ心に優しい。
「行ってくるから。――待っていろ」
 皆で帰ってくるから。
それを最後に、戦で笑顔を失った大人の忍びは、姿を消した。
「―――はい、先生」
 待ってますよ。ずっと。
 呟く勘右門の声は、きっと届いたことだろう。
尾浜勘右門の部屋は、独り部屋だ。
 昔、ここには同室の仲間がいた。
 けれど、今はもういない。
「――生きて、帰ってきてくださいね。先生も」
独りごちた自分の声がかすれていたのは、気のせいだ。
尾浜勘右門の部屋にいた友人は。
 一緒に笑っていた友人は。
「――死んじゃったら、笑って迎えてあげますよ」
 泣いてなんかあげません。
尾浜勘右門の顔に笑顔の仮面を張り付けたまま――――いなくなった。
了 by御紋
勘ちゃん。
 五年生だから、色々とあったさ。
 とにかく、勘ちゃんは色々とカナシイ子。
 悲しくて、哀しくて、愛しい。
――木勘に萌えるのは、私だけですか?
 …そうですか。
というか、風邪ってこの時代そうとう重い病気だったはずなんだが。――いいかね^^;
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