仮の婚約者。

　―――まあ、若さ＝人生の経験値↓　ということで。

　大目にみてください。＾＾；

「政略結婚に異議あり！」⑫

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１０．０３．２７．

　どん！！

　書類の束が、小柄な佳主馬の身体を覆い隠すような大きさだった。

　それが、２人がかりでワゴンの上に乗せられて、別室へと引き取られていった。

「……」

「はいはい、昨日の分の行きましょうか」

　にこにこと、理一が声をかけると今度は三人がかりで書類をもってこられたわけで。

「――――なんだ、これ！　なんだよ、これえええええええ！！！」

　ぶちりと、佳主馬の心のなにかが切れた音がした。

「なあ、なんでだ。なんで、こんなに仕事がたまってるわけ？　前はこんなことなかっただろおおおお！！！」

　目の幅の涙を流したのは少年王。

「―――キングが、色ぼけしたからでしょう？」

　――――いつまで経っても、休憩終わらせないんだから。

　周りの従者たちが遠慮して言えなかった事実をすっぱりと理一が言った。

　―――うぐっ！！

　『あ、あの。王様、お仕事は大丈夫ですか？　僕、邪魔してないですか？』

　可愛く訊いてくるその姿を見て、実は忙しいだなんてどの口が言えると言うのか。

「はいはい、じゃあ納得して頂けたところで、お仕事消化してくださいね」

　パンパンパン。

　理一が拍手をすると、執務室の扉が開いた。

　ひいふうみいよいつむうななや。

　決裁された書類に不備がないか、調べながら理一が尋ねた。

　その書類には、みみずのようにのたくった佳主馬のサインと花押であるウサギの印が押されている。

　右手でさらさら、左手でぺったんぺったんを繰り返していた佳主馬が、その言葉で手を止めた。

「――――それが？」

　一瞬止めたその手の動きを再開させる。

　意地でも今日中に終わらせてやる、という負けず嫌いな佳主馬の根性のなせる業である。

「――いえ。…意外でして」

　佳主馬が並べていく書類を新たに拾い上げていく。

「……」

「――始めは、形だけの予定だったでしょう？　婚約者なんて」

「……」

　佳主馬は答えない。

「議会の連中が怖がってましたからねえ。―――魔女に『呪われてる』だなんて言われた、――規格外の１２歳の王様なんて…と」

　それは、王宮での機密事項だ。

　戦闘能力は十分、その人となりも認められた。―――けれども、若くて呪われている王様。

　―――年老いたのだなと理一は思ったものだ。

　歴年の勇者たちの集まるこの国の議会。

　３年の月日をあげましょう。

　―――結婚なさいませ、キング。

　呪いを追い払った証拠として。

「――だから、仮の婚約者を探した。―――愛さずにすむように」

　どこまでも、自分の都合のためだけに。

「――――今のお気持ちはいかがですか？　キング」

　あの人とともに、生きていきたい。

　誰もの思いを呑み込んで。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…To　be　CONTINUE　　ｂｙ御紋

　人が好きだから、寂しいんです。

　恋しいから、寂しいんです。

[3回]