「政略結婚に異議あり！」⑧

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１０．０３．１４．

　というわけで。

　今日のお題は、休日の過ごし方である。

「日向ぼっこ…？」

　…ドレスで？

　え。あ、ああ、あの、―――私服はズボンが好きなので！！！　

　――ふうん。

　自分の失言にあせった健二だったが、佳主馬はとくに引っかかったわけではなく、次の言葉を促した。

「―――和国は、緑の多い国です。城の近くに大きな森があるんです。敬に頼んで作ってもらったお弁当を持って、よくピクニックに行ったんです」

　―――美味しいんですよ、敬のお弁当は！

　にこにこと話す健二は、食べる専門である。

「お気に入りの場所があって、――地面に転がっていると木漏れ日がちらちらと落ちてきて、瞼を通して感じられるんです」

「――気持ちよさそうだね」

「はい！！」

　にこにこと話す二人は、実に穏やかである。

　かたや文化系（インドア）。かたや体力系（アウトドア）。

　それでも、会話は続くらしく、今日のダイニングの空気は甘ったるい。（――ダメなの！！？　…いや、ＯＫですが）

「………」

　沈黙のなか、微笑ましい笑みで眺めているのは、ＯＭＣ王国の女官たち。

（女官長、おめでとうございます。ようやく、お二人に未来が！！）

（ふふふ、よかったわねえ。最初はどうなるかと思ったけど）

　忍者よろしく目と目で合図し合うのは、健二と佳主馬の二人の衝撃の出会いを知っている女官たちである。

　女官長の目がやや滲んでいる。

　冷静な目線で、ちゃくちゃくと健二が“王様メロメロにしちゃえよ作戦”を遂行しているのを見守っているのは、プロデューサー役を兼ねている敬だ。

　…デレたか。

　こっそりと、その光景を眺めに来たのは、多忙な大臣である（はずの）理一だった。

　次は、仕事休みの休憩を一緒にして。

　そのうち、執務室にも出入りすればいいとおもうよ＾＾

　完璧結婚してからでしょうけどね。＾＾

　敬が、健二に向かって拍手をしていた。

「なにがあ？　」

　いきなり、そんなことをされた健二は“？“としか返せない。

“王様をメロメロにしちゃえよ作戦“の遂行者は、まだその事実を認識していないようだ。　

[1回]