「政略結婚に異議あり！」⑮

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１０．０７．１３．

「…ゴゼン試合？　」

　午前にある試合のこと？

　―――カン・

「　ＯＭＣ王国の御前試合は有名ですわね。和国でも、どのような勇者が闘われるのだろうかと噂になっておりましたわ　」

　うふふふ。

　ほほえむ侍女の横で、和国の姫君が泣いてうずくまっていたのは意外に知られてた秘密の話。

　――蹴られた臑が痛いです。敬さん。

　――王道ボケをかますな、芸がない。

　ボケ方にまで文句をいわれだした自分の未来こそがないような気がした、もと男の子いま女の子の健二だった。

ＯＭＣ王国は傭兵王国である。いつでも武芸を磨くことを奨励するお国柄だ。

　今回開かれるのは、その集大成。

　賞金も魅力ながら、働き口や雇い口もみつかるという御前試合。

　―――ＯＭＣ王国杯。

　自国他国の闘者たちが集うイベントである。

「――痛くないんですか？　」

「え？　」

　健二が尋ねたのは、本日のティータイム。

　疲れた顔色で、しかし、『やってやったぜ』という達成感に満ちた顔で現れたキングは、なんのことかと首をかしげた。

「　戦うことは、怖くはないですか？　」

　剣を握らされたことがある。

　――――それは、ひどく冷たく感じられた。

　冷たくて、美しくて―――重い。

　命を絶つ、無機物。

怖くなって、泣きだした。

王族のたしなみといわれて捧げられたその剣は、今も和国の健二の部屋にある。

「　…そうだな。　痛くないわけじゃないし、怖くないわけじゃないけど　」

　今日も空は快晴で。

　中庭の東屋で、王宮のコックがつくった自慢のサンドウィッチを食べながら。

　―――悩むふりした少年は。

「　――――　それ以上に、興奮するんだ　」

　隠していた刃を、少しだけ覗かせた。

　綺麗な世界のなか、獣たちが息づく。

　これが、――キミたちの世界。

　泡立つ皮膚は、恐怖からか興奮からか。

　　　　　　　　　――――健二には分からない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　…To　be　CONTINUE　　ｂｙ御紋

　再会ｖ

　――――再開が正しいけど、そう叫びたいｗｗｗ