爽快な朝というよりも、まだ霧深い気のする早朝の時間です。

　昨日の夜露にぬれた草葉が、より綺麗な緑色でした。

「　――――おはようございます　」

　昨今のラジカセは軽量で助かります。

　ぽちっとな。

　再生ボタンと周波数を調整して、あとは時間になるまでを待つばかりです。

　今は、何かわかんないのが流れてますよ。

「　おはよー、健二くんｖ　」

「　よっす、健二！　」

「　おにいちゃん、おはよう～　」

　小さな町の公園には、朝も早くから寄ってくる人たち。

　俺が係しなくてもいいんじゃないんですか？　理一さん…。

　アルバイトを紹介した人物に、心で問いかける小磯健二（１７）の夏です。

　だが、値上がり続ける我が家のエンジェル係数―――子供（エンジェル）の意味ではなく、白衣の天使的な意味でのそれです――のためには、断れない。

「　おはようございます、皆さん　」

　笑う顔に、力が入りすぎてないか心配でした。

「ケンジちゃんたちは、今日の飴玉はどれがいいのかねぇ？　」

　今日も巾着から出した飴玉を、初期ケンジと仮ケンジに渡すおばあちゃん。

「コーラとミルクを戴きましょう　」

　一緒に舐めるとデンジャラスと聞いたので。

　―――なぜ、あえてのダブル舐め。そして、爽やかな朝から危険を求めるな。

「あ、じゃあ。―――ピーナッツ飴がいいです」

　―――微妙にマニアックな選択したな。そして、それは飴という名のピーナッツ菓子だ。既に。（美味いけどね）

　にこにこにこにこ。

　フリーダムなアバターの行動をあたたかく見守るおばあちゃんの寛大な心の在り方に、健二が神だと思ったのは初日のことである。

　おばあちゃんの肩にとまった、黒い雁と目が合った。

　――すいません、なんでもないです。

　丸い目玉が、【なにか？】と言われてる気がしたんだ。――うん。

「―――初期ケンジ、仮ケンジの前で運動すんのやめね？　」

　思いっきりふりかぶった拳が、真後ろの仮ケンジの顔にぶちかまされてるんだけど。

　ラジオ体操、第一の運動がつねに仮ケンジの頭に拳が降る運動だとは、どこのだれも認識してません。　

　皆様は、しっかりと周りの方にあたらないように間隔をとって行ってくださいね。

　そう思いながら、見本となるように真正面で皆様とご対面。

　猫背の姿で、一生懸命に内心の照れを隠すために表情が少なくなる高校生でした。

　だが、深夜までのパソコ警備で忙しいのに、友人に乞われて参加している佐久間は知っている。

　実は、以前のリクで書いた後に書こうかと思ってたお話。（また人さまのおかげでギャグ書いてるねえ御紋ってば）

　そして、理一の登場。

　奴は、独り暮らしの男子高校生の様子を報告すると言いつつ、茶化しにきている。

　奴の読書は、数学雑誌とパソコン雑誌と、通販雑誌。―――最近は、レシピ本がふえたとか。

[2回]