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親心だけど、それだけでもないんじゃないのかなあ。

「最強健二さんの改変」シリーズ。


 

「命」

         2010.05.04.

 

 遠く、辛い記憶がある。

『――命にかけてもかい?』

『は、はい!!』

 それは、優しくて愛しい記憶でもあるから、切り捨てて忘れることなど出来やしない。

『――ああ、よかった』

 呟いた栄の笑顔を、健二はあっけにとられて見ていた。

 

 

 

「―――独りで生きていくことはつらかったですか?」

 ――栄さん…。

先立たれた夫の負債と子供たちをすべて背負ってきた、あの人の人生を考えていくにつれて、その記憶は辛いものになる。

 

 

 

 

 

「―――何を考えてるわけ?」

 信じられない。

 仁王立ちした女性というのも、怖いものだな。

 今にも絞殺されそうだと思いながら、健二は目の前の独身コンビを眺めていた。

 

「―――OZを。…世界を救ってください、とお願いしました。考えてることは単純でしょう?」

 理香さん、直美さん。

 

「―――話にもならないわ」

「栄おばあちゃんが危篤なのよ? なんで、私たちがそんなことをしなくちゃいけないわけ!! …自分の家が大変なときに、どうしてそんなことをしなくちゃいけないのよ!!!」

 

 勢いよく、言ってのける独身コンビの口のたつこと。

 全くもって、そのとおり。

 そう呟きたくなる。

 けれど、そこで頷けば世界は終わってしまうだろう。

 誰でもない、この家族だけが。

 ――あの最後の戦いを成し遂げてくれたのだから。

 

「――わかりませんか?」

「「わかるかっ!!」」

 

 間髪いれずに帰ってきた答えに、笑いさえ浮かぶ自分がおかしい。

 けれど、その質問の答えはもう用意できている。

 

「――陣内家の家族だからですよ」

 

 俺の誇りだった、家族。

 

 

 

「―――――人を守ってこそ、己を守れると言ってのけた、――陣内家の家族だからこそ、おねがいしたいのです」

 

 

 

 俺の愛した、家族の在り様。

 

 

 

「―――命を愛せるあなた方だから」

 

 

 

 信じているのです。

 

 たとえ、心が揺れていても。

 人を守ることの意味を、思い出してくれるだろうと。

 

 

 

 了 by御紋

 

 精一杯に生きてきた栄さん自身はその人生を後悔はしてはいないだろうと思うのですよ。

 ですが、愛しい子供たちをおもえば人生を預ける相手をみる眼も厳しくなるだろうともおもうのです。

 そして、健二さんは栄さんとの直接の会話が少なかったがゆえに、神格化した思いしか持てずにいるわけですね。

 って、まんまあたしじゃないかと、一人突っ込みしておこっとwww

 

 

 

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