キャラ壊れたっていいじゃないか。単独作品つーかネタ⑰―１

「ねえ聞いてる？　俺だって呑みたいときはあるんですよ」

　　　×　年齢操作あり、侘介ファンは要注意です。

　酒を飲まされそうになるのを、一生懸命防ぎました。

　伊達に、『手作りのワインゼリーで卒倒した男』と呼ばれた俺じゃありませんよ。　

　もっとも、それはまだ幼い幼稚園時代のお話なのですがね。

４０も過ぎた成人男子です。

酒との付き合い方だって知ってますよ。

任せておきなさいってば。

…ねえ聞いてる？　君たち。

かたんことんと音が鳴る。

かたんことんと音が鳴る。

『ああ、――ようやく出番がきたのねえ』

『すいません。――お待たせしました』

　繋いだ先から聴こえて来た声に謝ることが俺のデフォなんでしょうか。

　心から。

　心から！！　

…否定したいのに否定させてもらえない気がする小磯健二（４１）の最近の通信事情でありました。

　ぱちっとな。

　繋げた回線が動き出した。

　目の前で唸りを再び上げ出したスパコンは、侘び（というより陣内家チーム総員）が使うので俺にはその回線落ちする恐れもない高性能な次世代機を使用するチャンスは渡されなかった。

「――泣いていいか？　仮ケンジや」

　とことことこ。

　小さな黄色い足で健二の持ってるノートパソコンの窓の中を歩いている健二のアバターは、困った笑顔でにこりと笑った。

「――そうか、ダメか」

　黄色いブサ可愛いリスと定評のある我がアバターどのは、なにやら水色の雫状のものを周囲に飛散させた。

　――うん、それって汗だよね？　決して涙じゃないよね？

　もはや情も湧きすぎた小磯健二の二代目のアバターくんは、一生懸命に画面越しにぐったりと鬱な表情で正座している己のマスターにエールを送った。

　決して、『あの、あのっ！　泣いてる場合じゃないと思うんですけどっ！　仕事っ、しなくてもいいんですかっっ、マスター！』などという叱咤激励を込めたエールではないと信じたいマスターが一名いたそうな。　　

『健二。――起動かかったわよー、研究室の電算室全てフル回転。…繋がった―？』

「…あいあい。――ＯＫ，起動リンクともにＯＫです、あんやとー、涼さんや」

『任せなさい、私は泣く子も黙るへたれ４１歳研究者どもの名マネージャーよ！　』

　これくらいお茶の子さいさいよ！

「…毎度ありがとうございます」

　呟きつつ思うわけだが。

　お茶の子さいさいって、昭和のおばちゃんの語彙だよねえ間違いなく。

　既に健二と別れて二桁の年月の彼女は、おばちゃんと呼ばれることだけは意地でも許さないと明言している。

　ちなみに。

　年の離れた弟である佐久間敬と別れた夫である小磯健二に、結婚を（あるいは再婚を）先越されるようなことがあったら死ぬとも明言している。

　どうせ、おれたちゃ草食だよこんにゃろめ。

　そういえば。

【――俺と敬はともかくとして、侘びが先にっつーことは考えね―の？】

　と問うた健二に対して。

【あり得ないわ】

　…元嫁は真顔で語りました。

　そんなことが那由他に一つの確率で起こるくらいなら、世界が死滅する可能性の方が高いに決まっていると。

　――詫び、強く生きろよ。

　否定してやる気にもなれなかった、４０年近くの付き合いの共同研究者はそう心でだけ祈ってあげることにしました。

　だって、―――至言じゃね？

　かたんことんと音が鳴る。

　箱庭のドアが開くよ。

　小さな、小さな、世界の中で。

　かたんことんと音が鳴る。

　蝶番が小さく鳴いた音のあと。

　ドアの奥から静かに歩いてきたのはだあれ？

　　　　　　　　　　　　　　――――→　　　　　　　２　へ

　さあ、今回はいくつかな？

　予測がまったくつきませぬ。（土下座）

　万でも億でもなく那由他という単位を選択した涼さんに、拍手。

　侘びファンの方には、まことに申し訳なく思っております。こんな作風の筆者ですいません。（ぺこり）

　今後もこの傾向は続くので自己責任にて閲覧されるかを決められることをお勧めいたします。

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