キャラ壊れたっていいじゃないか。単独作品つーかネタ⑯

「あんだけ勝てるならそりゃあ好きだよ！　羨ましいよ！」

　　　　　　２０１０．１２．２０　．

　　　×　年齢操作あり、侘介ファンは要注意です。

青い畳の上に眠る人。

脇に挟んでおいた氷水が効いたのだろうか。

浮かび上がるべき怖ろしい死痕はまだ浮かび上がらない。

世界のためにと奔走したのを台無しにしてくれた代わりに、美しいままの貴方の姿を護られたことに、太助の息子には礼を告げておくべきか。

――ただいま

言葉にならぬ言葉を。

昇華された愛を。

ようやく告げた相棒の声を、障子越しに聞いた。

今日の日も暑い。

じりじりと陽に焼ける土の匂いを感じながら立ち上がり、食卓の輪を囲む家族たちのもとへと移動した。

「俺が、ラブマシーンをリモートで解体する」

　静かに食卓へ途中参加した侘びは、胸を張ってそう言った。

　さっきまで、猫背になりつつもそもそおにぎり食ってた奴の顔には見えません。

「あそこまで巨大化させられたプログラムです。いくらラブマシーンにとっても把握しがたい状態だとしても、基本システムに気付かれないわけはないでしょう」

　プログラムにとっての生命線への違和感には、当然敏感になるよう設定しましたから。

　ちゃぶ台にならんでる人の数を考えると正座がいちばん場所をとらないので、正座したまま塩にぎりを食べていた小磯健二（４１）が説明を補足した。

「じゃあ、どうする気だ」

「――これです」

　取り出したのは、日本古来の遊び道具。

「混乱の原因は、アカウントがラブマシーンにのっとられていること。もっと有効な手段で取り返すためにはどうすればいいのか」

　一人一人をとりかえすのは、もう間にあわない。

　加乗もだめなら、ネズミ算。

　だが、そのための手段がもはや見つけられない。

　悩んだ健二の目の前にあったのは、あの夜二人でした花札だった。

　最後の最後に見つけた手段がよりによってこれかよ、と。

　答えを見つけた次の瞬間、腹の底から湧いてきたのが息も出来ぬような笑いの発作だった自分に、悪いところは一つもないと思います。

「さて、久しぶりに訪れた日本では可愛らしいのから仔生意気そうなのまで新しい陣内家の家族がふえたようですが。―――いま現在、もっとも花札という賭けゴト勝負で鬼か悪魔かと思えるほどに勝負運をがっちりと握りしめて放さないことができるのは、どなたですか？」

　既に、陣内家の人間というだけで賭けゴトにおける勝負運は保証されているだろうことは高校のときから理解している小磯健二の問いかけだった。

　愛すべき家族たちは一瞬止まった後で、たった一人にだけ視線を送った。

「あ、あたし……？」

　呆然とした表情で自分を指差して呟いた少女には、懐かしい人の若いころの姿を思い出させてもらいました。

　白黒フィルムのアルバムのなかでよく見つめた凛と背筋を伸ばしていた人は、もう去った人の青春時代の姿でした。

　さあて、突貫工事を始めましょうか。

　世界の終りまで、働いて。

　世界の始まりまで、夢を見て。

　―――　まるで、世界を救うために在ったかのようなこの家に。

　尊敬と忠誠を捧げましょう。

　それが俺たち小磯家の役割であったのだから。

　　　　　　　　　　了　ｂｙ御紋

必死で考えて見つけた回答が、陣内家の得意な花札であったとは。

　どんだけ！　どんだけ勝負運TUEEEEのこの一族！！！

　心から思いつつ、呼吸困難になりながら笑い死にかけた４１歳健二さんです。

　陣内家のありえない勝負運を知るゆえに、これでゲームに負けるはずがないと確信したための笑いであったと思われますｗｗｗ

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