２０１０．０３．２６．

「―――どうしたの？　敬」

　朝のお着替えの時間です。

　ごそごそとつい立ての奥で最低限度の肌着を身に付けた後、決して一人では着れないコルセットという女人の戦闘着を着せてもらうわけなのですが。

「―――ちょっと、待って」

「？」

　ス―――ハ――――。

　深呼吸。

「せ―――――のっ！！！！」

「！！！！！！！！！！！！！！！！」

んぎゅううううううううう。

――かはっ！！

　敬が思いっきりコルセットの紐を締めあげると同時に、健二が悶絶した。

　まさしく、苦悶の表情である。

「い、痛い痛い痛い痛いイイいいいい」

　ようやく、息が出来た。

「――やっぱり、おかしいわね」

　殺人間際な行為をさらりと流した敬が、呟いた。

　さすがに、締める側だった敬にとっても重労働だったようで、軽く汗ばんでいる。

「え？　敬が？」

「アホ」

　ごいん。

　酸素がまだ廻ってない健二の頭が鳴った。

　あ、火花。

「なんで？　なんで、腰のくびれが細くなって、胸が大きくなってるわけ？　これじゃあ、まるで……！」

　ぐるん。

　敬が、いきなり健二を振り返った。

　じいいいいいい。

「ふ。…そんな、まさか、そんな、ねえ」

　まさか。

　そう呟きながら、敬は健二の胸元へと手を伸ばした。

　その手が震えているのは、まさかまさかの仮説がありえないくせにありえそうで怖いからだなんて、まさか…。

「…なに？」

　どうしたの？敬？

　健二は不思議そうに、真っ青な表情の敬を見ている。

　ようやく、健二の胸元に届いた敬の掌が、感触を伝えた。

　ふに。

　敬は錯乱している。

　健二は耳元で叫ばれたために、耳が痛くてたまらない。

　はあああ、すっきりｗｗｗ楽しいｗｗｗ

[1回]