あ～た～らし～い　あ～さがきた

　希～望～の　あ～さ～だ　……

　………。

　朝だ。

　早朝の少林寺拳法の型（佳主馬の趣味の一つ）を練習した後、どこからか聞こえてくる音に反応した。

　久遠寺タウンにおける朝のラジオ体操の時間なのである。

　現在、我が家には誰もいない。

　母である聖美は、そのアバターとともに御町内のラジオ体操に参加しに行っている。

　…妊婦の自覚あるのかなあ、あの人。

　そう思ったカズマは間違ってないはずだ。

　そして、…佳主馬のアバターであるカズマも。

　そんなチラシを持ってきたのは、聖美だった。

　佳主馬は勿論、行く気はなかった。――そして、カズマも。

　なのに。

「…行く」

　どこからか貰ってきた同じチラシを握りしめて、カズマは言った。

「まああ、じゃあ、３人楽しく行きましょうねええ？？」

　母さんと、そのアバターが嬉しそうに手を握って答えていた。

　もちろん、ボクは行く気もない。　

「……行く」

　カズマは、行く気だ。

　どうして、カズマがその気になったのかだけが不思議だった。

「ですねええ～」

　満面の笑みで、母さんとアバターが帰ってきた。

「今日も可愛い面白かった―。ケンジちゃんたちｖ」

「最高ですね。…いいトリオです」

　いい笑顔で、笑っていた。

　何なの？　その漫才の寄席を見てきたおばちゃんの会話みたいな感想。

「―――おかえり」

「あら？　佳主馬、ただいまー。今、朝ごはん作るわねえ」

　そう言いながら、手洗いしてキッチンに戻っていった。

「…何なんだ？」

　本気で不思議だった。

「――ただいま、佳主馬」

「―――おかえり」

　首からラジオ体操の出席カードをぶらさげたまま、カズマが帰ってきた。

「――明日は、負けない！」

　小さくガッツをしながら、手洗いに行ったカズマを見送った。

「……だから、何なんだ？」

　訳がわからなかった。

「「「ぶっ！！！」」」

　なぜか、三人が笑って食べられなくなっていた。

「だから、なに！！！」

　息たえそうな連中は、何にも答えてくれない。

　見えたＴＶの横にかけられたラジオ体操の出席カードを見てみる。

「―――なんだよ？」

　にらみ返してみた。

「…ううん？」

「…なんでもないですよぅ？」

　母さんとキヨミが微笑んだ。

「―――一緒に行こう、佳主馬」

　カズマが笑顔で手を差し出した。

　そして、ボクは。

「…うん」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――頷いた。

　馬鹿な連中になんて会いたくないって思ってたのに。

　何故だか、その気になった。

　外へ行こう。―――新しいなにかを見に。

　風鈴が揺れている。

　その奥に並んで飾ってある３人分の出席カードには。

　御希望に添えたかはわかりませんが、さっそく書かせていただきました。＞///＜

　少年実業家のせいで中学校でいじめられ、暑い夏を引き籠りながら過ごしていた佳主馬のお話でした！

　この後、ラジオ体操にいって、健二さん達に遭遇すればいいと思うんですよｖ

　絶対、このラジオ体操は御町内の娯楽となっているはずだ。あああ、なごむｖｖ

　楽しく書かせていただきましたｖ

　今回の企画への御参加、誠にありがとうございました。（礼！）

　拙作でよければ、お持ち帰りどうぞ。

[3回]