「どうか、あの子をよろしくおねがいします」

　夜明けの早い、夏の朝。

「…命をかけても守りたいと言った。

　小磯健二の母親は、……そう言って頭を下げた。

　間違うことなく、ラブマシーンはその場所に現れた。

　一つ、二つ、三つ、四つ。

　数える意味すらないのに、その瞬間を待ちわびる。

「―――行け！！　カズマ！！」

　救い出されたその姿を仰ぎながら、その瞬間を待ち望む。

零！！

「、佐久間っ！！！」

　押されたエンターキー。

　ばたん、ばたんと音は連続していって。

「――これで、終わりだ」

　宣言したキングカズマの言葉に、見ていた全てのアバター達が歓声を上げた。

　映るその窓の中、立ち尽くすラブマシーンが見える。

「――さあ、いまの内に次の手を…」

　振り切るように、健二が言った瞬間。

「―――俺たちにまかせろ！！」

　聞こえた声と、見えた姿。

「――いいか、生学！！　大人を舐めてんじゃねえぞ！！」

「「「　陣内家の、男なんだよ！！！　」」」

　宙をきって長く伸びたのは、白い消防用のホース。

「―――頼彦さん、克彦さん、邦彦さん！！」

　人を守れる男になりなさい。

　――おまえたちの誇りになるだろうから。

　命を無事にとりとめたその人は、何度も教えてくれていた。

　―――陣内家の男に、半端な男はいらない。

　いつだって、どんなときでも。

　人を守って生きる人になりなさい、と。

　　　　　　　　　　　　　了　ｂｙ　御紋

　これで、男たちは完璧に和解、かな。

　そして、名前が不明のままの健二さんのお母さんが…＾＾；

「とりあえず、後で一発なぐらせてもらうからなぁ、健二！！」

　三兄弟が、作業の直後に言ってきた。

「――俺も混ぜろ」

　便乗した呟きが、健二の横に並んでいた男たちからも聞こえてきた。

「―――俺の頭が壊れます」

　なんなんだよ、この体育会系男子どもがああああ！！！

　心の中で叫んだのは、基本的に文化系男子な小磯健二（逆行済）だが。

「―――おれは、何もしてませんから」

　しっかりと健二を裏切った親友には、土産なんぞ買ってやらんということだけは決定しました。