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本編最終話。ありがとうございました!



「最強健二さんの改変」シリーズ。

 おかげさまでの最終話です。

 いろんな意味で、自己満足の激しい内容と文体でしたが、
それでもこのシリーズが好きだと言って頂ける方がいらしたことが嬉しかったです。(ぺこり)


 


「永遠の夏の終焉」

                         2010.05.25.

 

 夏の空がもう終わる。

 そう思いながら、夏希はそこに座っていた。

 ぱたぱたぱた。

 廊下を歩いて、そんな夏希に声をかけたのは。

 

「―――かあさん、お茶のまないか?」

 

 息子だった。

 五周忌の法事をすませて、夏希は力が抜けたようだった。

 目の前には、黒い額縁のなかで微笑む夫の姿。

 そんな夫によく似た長男は、持ってきた湯呑にお茶を入れている。

 こぽこぽと、茶が注がれる音がして、そっと手に持たされた。

 

「――――初めて、知ったわ」

 

 夏希は呟いた。

 法事の終わり、故人をしのぶなかでその会話を聞いた。

 

『…健二さんは、最後まで家族を守ったのかもね』

 

 佳主馬が呟いた一言に、苦い表情で頷いたのが数人。

 

『…どういうこと?』

 

 尋ねたのは、守られていただけだった自分。

 

『――健二さんは、驚異的な数学能力の持ち主だ。だからこそ、OZ本部にいたんだけど』

 でも、それが保護という名の監視のためだったって知ってた?

 

『……なぜ?』

 監視?

 

 呆然と聞いた真実に、夏希は震えた。

 

『――あの人が、OZを守る人だったから』

 

 そして。

 

 

 

『――彼が、唯一OZのシステムを破壊することが出来る人間でもあったからだよ』

 

 

 

 年を経るにつれて、健二の暗算能力は失われたが。

 分析能力は、むしろ上がっていた。

 新しく構築されたOZのシステムを、網羅するほどに。

 そんな健二を危険視した国とOZに監視されるように過ごした彼は、最後まで日本を出ることを許されなかった。

 そう言えば。

 ハワイ旅行に行きたいとねだっても、連れてはいってくれなかった。

『危険だから』と言って。

 日本人の方が多いような、観光地の何処を指して言っているのかと、喧嘩をした覚えがある。

 健二の存命中、知らないところで家族にも護衛が付いていたと言われたら、驚くほかない。

 他国や危険な組織などに目をつけられないようにという意図があったと聞けば、乾いた笑いさえ出やしない。

 

「…小さい頃、親父に連れられて仕事場に連れて行かれたことがあっただろ?」

 

 苦笑いを零した一人だった息子は、湯呑を片手に話す。

 それは、中学に上がる前の話。

 困った顔で連れて行った健二の姿に、迷子にさせないように気をつけてと言った覚えがあった。

 

「あれさ。――俺が親父の数学能力を受け継いでないか調べるためだったんだってさ」

 さいわい、普通並の能力だったから、親父ホッとしてたみたいだったけど。

 

 妹や健二の孫たちも同様の検査を受けなくちゃいけないと言われた。

 そんなことを言いながら、長男は当時の健二のことを語る。

 

「『ごめんな』って言ってたよ。…なんのことかわかんなかったけど、俺はそんな親父がいやで、親父の身体なぐってやったっけ」

 すごい哀しそうな表情だった。

 

 

 

 思い出すのは、永遠の夏。

 世界が混乱して、おばあちゃんが死んで。

 健二と陣内家の皆で世界を救った、あの夏。

 

 

 

 

 

 ああ、まだあの夏は終わってはいなかったのだ。

 

 

 

 

 

 長男は、飲み終わった二人分の湯呑をもって、家族のもとへと戻っていった。

 たった一人、健二の遺影を抱きしめながら、夏希は泣いた。

 

「ああ、あなた。―――健二、くん」

 

 涙は枯れないようにこぼれおちる。

 懐かしい過去の呼び名で夫を呼んだ。

 

 あの夏の思い出。

 

 

 

「家族を、守ってくれてありがとう」

 

 

 

 微笑むその遺影に、涙を零しながら伝えた。

 もう亡くなってしまった夫に、その声は届いてはいないかもしれないけれど。

 

 それでも。

 願わくば。

 

「 あなたの往く世に、あなたの自由が残されていますように 」

 

 

 

 願いの言葉は、届いただろうか。

 

 

 

 

 

 ああ、夏が終わる。

 永遠の夏が。

 

 ――家族を愛し、守ってきた人と過ごした夏がようやく。

 

 

 

              了 by御紋

 

 

 

 原作改変編、最終話終了。

 過去世におけるこの話が、完結編。

 原作健二さんでもある過去世の設定は捏造済です。ただ、ありそうかなと思ったので。

 

 何度も泣きながら、逆行健二さんが愛おしくてたまりませんでした。

 本編はこれで終了ですが、その後のお話として書きたいものがあるので、書けたらいいね。(すぐとはいえない近況;人;)

 

 とにかく、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 なんとか、思うところまで辿りつけたようです。みなさまに楽しんでいただけたなら、嬉しいです。(ぺこり)

 

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