大切な人が、仮子には沢山いる。

　たまに、困ることがある。

　るんっ。

「今日はね、仮子ちゃんに似合いそうな服を買ってきたのよ―」

　笑顔で述べるナツキの手元には、データ比重の重そうな圧縮データ（イン紙袋）が沢山あった。

　だが、しかし。

「――ちょっと。…今日は、ボクと出かける予定だったんだけど」

　それに対抗するモノがいた。

「え、…え、あ、あの…」

「「　………　」」

　顔面を紅潮させて、手足をばたつかせる仮子を横目で眺めて、ほっこりとするナツキとカズマであったのだが。

「――ようやく、久しぶりに休みがあったんだから。たまには、こっちに合わせなさいよね」

　大学生になったばかりのナツキのマスターは、意外にもＯＺに入り浸る。

「　嫌だよ。ボクだって久しぶりなんだから　」

「あのっ、あのっ……」

　火花がばちりと散るような二人のアバターに囲まれて、困った表情が消せない仮子だった。

「―――束縛のすぎる男は、嫌われるわよ？」

　最後についた笑い声が嘲笑のそれに似通っていたことは、仮子ですらも認めざるを得ない。

「　これだから、独り身は。――休日に遊んでくれる相手もいないの？　」

　思いっきり、地雷を踏んでやったカズマだった。

「「　………　」」

――――いやあああ、怖いいいいいい。

　ぴるぴると恐怖で震える仮子の様子は、まさに怯える子リスのようだった。

「あ、あの。――――私、お邪魔みたいですから、帰りますううう！！！」

　超有名な吉祥天女と王者による、超レアな戦いは、そういって去っていった一人のアバターによって強制終されたという話だ。

「　―――ちょ、待ってよ。ケンジさん！！　」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　了　ｂｙ御紋

　今日のあきらさんからのリクは「キングとナツキが仮子を取り合う話」。―――また、難しいのきた＾＾；。

　――うええええん、サクマあああ。キングさんとナツキさんがあああああ！！！

　大事な人同士が争ってるので、怖くなってしまった仮子は、お兄ちゃんに泣きついたよ。（笑）

――いいですかー？　仮子の取説は、しっかり読んでおいてくださいね？

　―――おーい、仮子―、そろそろ天の岩戸やめてくんね？　そこで、吉祥天女と王様が、死にたそうな顔で待ってるから―。

　サクマの部屋になぜかある仮子部屋（元客間）で泣いて引き籠っていた仮子へのフォローもする、良いお兄ちゃんなサクマでした。