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こんな考察もありでは?
借家の住人シリーズ③ (借暮…現ぱろ/別男主/傍観?)
「 絶滅危惧種は、考える 」
2010.07.26.
…自己紹介は、勘弁してくれ。
今日も仕事でストレス貯めた社会人だ。
それだけ理解してくれればいいから。(ため息)
俺の家というには、若干の語弊がある気がする。
正しくは、祖母の家というべきだろう。この家は。
この家に俺が住むようになったのは、中2の頃だ。
お約束にもれず、俺はいろいろと祖母に世話になった。
そして、いろいろと学んだ。
―――世のなかには、ありえないことがあるんだ、と。
祖母は、言い放った。
「――ここには、『見てはいけない人』がいるから。――見たと気づいてもいけないんだよ」
そう言ったのは、家から離れたスーパーでの買い物からの帰り道だった。
そんな、馬鹿な。
俺はそう思いつつ、無言で頷いた。
世の中、目上を立てなきゃ生き残れないことがあると、母を通して知っていたからだ。
――そういや、あの人今頃どうしてるだろうか。
あいかわらず、直感だけで生きてるんだろうけど。(予測は出来る)
実際にそんなのがいるんだと理解するのは、遅くはなかった。
見つけたことがあるのだ。
一度目は、寝苦しさのあまり蹴飛ばした布団の下で気絶しているのを見つけた。
「………わああ…」
発した声に、感情が伴っていなかったことは認識している。
じっと見つめたあと、布団をかけ直しておいた。
――すまんな。
そう思った。
二度目は外だ。
近所の野良犬が庭にやってきていた。
パクリ。
そう言う擬音とともに、犬の口からは足が飛び出ていた。
「……うわあ…」
自然界の厳しさを、俺は学んだ。(合掌)
若干のトラウマを形成しかけたことも事実だ。
三度目は、俺が追いかけまわした。
どこかで見た布地の欠片がこそこそと動きまわっていたからだ。
―――返せ、俺の貴重な一張羅の生地!!!!
お気に入りのスーツが一部分切り抜かれたために、中古と化してしまった。
あのときだけは、予測がついているやつらの巣の近くに水を流してやろうかと本気で思った。
思うわけだが。
好奇心の塊の年頃だったガキの頃。
見られてはいけない人たちの存在を知りながら、そんなのを定期的にこの家に寄らせるのは、―――必要以上に連中が増えるのを防ぐためなんじゃないのかと考えてみる。
結局のところは、お互い様だ。
昔の人間も言っている。
廂を貸して、母屋を取られた、と。
――あれだろう。いくら小動物といえども、相手はれっきとした知恵を持つ人間なわけである。
主権をしっかりと握らねば、本気でそうなりかねない。… 穿った話だが。
この家は、古いながらのアパートだ。
低価格、冷房なし。(自己責任にて、使用可)
それでも、口コミで住人はやってくる。
数年単位で住人は変わり、そのたびにやはり見てしまったと告げる輩は増える。
小人に対して、適度に距離を持つこの家は無駄に、そんな連中を呼びよせる。
増えすぎる床下の住人を、追い払うための知恵な気がするわけだ。
実際のところ、連中は本当に滅ぶ種族なのか、とは疑問だが。
意外にどこにでもいそうな気がする。
だって、あいつらは横のつながりがないっていうだけだろう。
移動範囲が狭くて、天敵が数えきれなくて。
――でも、火は使えて、道具が使える。
繁殖の可能性だけが問題か。
まあ、いいんじゃないか。
レッドデータは、増えるばかり。
―――そのうち、人が対象にあがるのもありそうな昨今だ。
身長2m弱の人なのか、5㎝弱の人なのか。
それは、分からないけどな。
わ~ははははははは。
「 … あの馬鹿、またハイになってやがる 」
苦学生の割に、ポジティブシンキングを通り越して馬鹿じゃねえのかと思いたくなる、下階の部屋の大学生に蹴りをいれにいく。
ゲシッ。
「――やかましい、学生」
社会人の貴重な睡眠時間の妨害するんじゃねえよ。
睨むそいつの眼の下には、黒い隈が見える。
万年寝不足なくせに、何してんだお前は。
鼻で笑ってやるわ。
無言で自室に帰った後。
『くっそ、人の部屋に勝手に入ってくんじゃねえよ!!』
懲りもせずに、叫んだ馬鹿の声が聞こえた。
夏の暑さで窓が全開している、下の部屋からだった。
―――馬鹿だな。
お気に入りの寝酒を含みつつ、今日も奴を理解する。
鍵なんぞかけもしない、警戒心の低いおのれを怨むがいい。
いつか、泣かすぞ。
追記。
―――俺は、気に入った奴は虐める傾向がある。
了 by御紋
なぜか、大家の孫が主張した。
…これで終わるよ? 借家の住人サイドパロ。(満足)
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