２

　おチャケとは。

　いってしまえば、ただのお茶です。アルコールは一切入ってはおりません。

　よいこの●～るの方がまだましだとは言われたくはない。

　　つーかさあ。

　呑もうにも呑めない時ってあるじゃんよ、人間ってさ。

　小さな箱庭を作った。

　その場所には、二つの存在。

「一緒ですね」

「……イッショ」　

二つで一つの、大切な存在。

「確認したいことがある」

　手招きしたのは、陣内侘助。

　今回の事件の原因とも云える、バカな相棒だ。

「――んだ？」

「おまえが勝手にラブマシーンを売ったことにはいろいろといいたい事や責めたい事があるが今はそれは不問にしておく」

「………」

　厳しい顔つきで告げた俺の表情に、何かを言おうとしてやめた侘びの姿が見えた。

「――なあ、侘介。おまえはアレをいじったか？」

　何かを感じ取ったのだろう侘介はもう逃げないだろうし、俺だって逃す気もないから。

　語る気があるんだったら、それこそいくらでも時間はある。

　世界を救った後でならな。

　白い壁に鉄格子付きの窓のついた暗い別荘で、二人語るのもなんだったら良しとしてヤンよ。

「…アレ？」

　不思議そうに、こちらの言葉を反復した侘びを見て日本語ってこういうときに不便だよなと思う。

　まあ、覚悟がついてない時には逃げ場所になりえて便利だと思うが。

「ラブマシーンに決まってるだろ！」

　とりあえず、今この状況下でそれ以外の何をさす提示の言葉だと思ってやがったんだこの男は！

　手さえ届くなら、侘びの頭に拳骨の一つも贈ってやりたい４１歳の小磯健二だった。

　ちなみに、侘びと健二の身長差はおよそ頭２個分だ。腹ただしいことこの上ない。

　これはきっと若いころからよく鼻腔から喪失させていた血液の不足によるものだと健二は真実信じている。

　決して、小磯家の遺伝子がそうなってるんだとか先天的なものだとかむしろそれが運命だとかそういう結論を受け入れる気はない。だって、そうだったら俺泣くよ？

「………は？」

　何で俺がそんなことする必要あんだよ？

　メガテン。

　決して昔に流行ったゲームのタイトルの略語ではない。侘びの表情が、『目が点になる』という驚いた呆けた表情の代名詞そのものだったのだ。

「――俺がしたのは、ラブマシーンを抽出して言い値で売ってくれと言ってきたペンタゴンのマネージャーに渡しただけだが」

　若干の暗い表情を浮かべたままで、侘びは言った。

「……ああ、そう」

　それだけで十分だとも思ったが。

　今の侘びにはそれがわかってるようだから、良しとする。　

「ということは、あの粗悪な改悪を施してくれやがったのはあちらの勝手かよ」

　反吐が出そうなほど、衝撃だったのだ。

　何もかもを支配下に置こうとするあの存在。

　壊されてしまった律。――変えられた在り様。　

「付けておいた保険さえも効かないくらいに、無意味に膨らんだだけの醜悪なラブマなんて見たくはなかったよ、俺は」

　窃収したアカウントによって増幅された存在。

　ただその権限を奪取しただけで、それを複合的に生産的に活用しようなんざ何にも考えちゃいやしない。

　ただ、快楽だけを求めている。

　おぞましき破滅的な快楽主義なＡ・Ｉ・

――俺が作ったのは、そんなものじゃなかったのに。

　ただの研究データだと。

　ただの解析するためだけのプログラムだと。

　いいきるには、すでに情が湧いている。

　そして、執着も。

「こうなったら、手は一つだな」

「……どんなだよ？」

　呟いて返した侘びには、やはり頭を殴りつけてやりたい。

　お前も、一緒にラブマシーン作ってんだから知ってんだろうが。

「ラブマシーンを、ぶっ壊す！」

　ダイエットしなさい、ラブマシーン！！

　　　　―――――――→　　３　へ

　健二さんがプッツンしました―。イエ・ア―。（壊）

　どう書いても、ペンタゴンには悪者になってもらうしかないのが御紋のさまうお改変話。

　物語りです、ご理解くださいませ。（ぺこり）

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