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41歳健二さんの呑み!⑰-7


 41歳健二さん!


 今日で三連休終わり!
 久しぶりにカラオケ行くかなあ。(どうでもいい呟き)




 

 

  7

 

 

 

赤い光が黒い画面をひた走る。

青いライト、白いライト、緑のライトに、黄色のライティング。

追いかけたのは幸せ。

 

【うっ……………てええええええええええええええいっ!】

【……ケンジ、40……点…】

【うーん、なかなかタイミングが難しいですねえ、このシューティングゲーム】

【デモ、コレ初心者…向け……設定】

【―――ラブマもしません? 採点はぼくがしますよ】

 大丈夫です、きっと健二さんの28点は越せるとおもいます。

 

「――――お黙りなさい、いま俺は仕事中です!!」

 

 本気でなに、このファンタじいいいいな日々!!!!

 

 癒しの笑みで、健二がむかし暇に明かせて作成したシューティングソフトに熱中するラブマシーンと初期ケンジに涙目で突っ込む日々。

 俺のデスマ―チ中でもこいつら画面奪って二人で遊んでる姿を見せつけてくるからね! 作業妨害も甚だしいです、君たち!

 うっかり怒りのあまり三人でぴこーんぴこーんとシューティング勝負し始めて、後から亡霊化するほどおっとろしい目に合うのは勿論よい社会人な小磯健二(人間:ただいまお仕事中)ただ一人だとも。知ってるよ!!

 

 

 

 

【ひとつ】

【フタ…ツ】

【みっつ!】

【ヨッ…ツ】

「―――いつつで連鎖発生。して、今日はどんな結果だったの? 君たち」

 ピコピコピコ。

 モグラ叩きかパック●ン。――忘れられた名作ゲームをひっそりと部屋の隅で地味に制覇。

 そんな感じでただただゲームをする日々を送るラブマシーンと初期ケンジに尋ねてみれば。

【大丈夫ですよ、健二さん。ぼくたちはばっちりでした】

【今日…シン…クロ率…89.7%…】

 返ってくる答えはこんな感じ。

「おまえらさあ、そこまで一緒の存在になりたいの?」

 ピコピコピコ。

 対局ゲームタイプ。

 あれだ、pよぷyの対戦モード状態。

 あんな感じで遊びつつ、画面上の二人を見る。

 でっかな体のラブマシーンのお膝の上にエプロンつけた初期ケンジがちんまりと正座しつつ、二人一緒にシューティング中。あ、…詰んじゃった。

【あ、すいません健二さん。…勝っちゃいました】

【kK、…ヨワイ】

「本・気・で! …おまえたちが天然なのかと聞きたいんだがどう思う?」

 ちなみに俺はおまえたちは黒さの混じったド天然だと思うよ。どう?

 それがpcのなかの小人さん改めAIバカップルたちと接するうちに癒しなどではなくSではないのかという思いが生じてきた、己が作ったゲームで負けた小磯健二(KK)の負け惜しみだったことは言うまでもない。

「――そんなにも仲間が欲しかったか?」

 なあ、ラブマシーン。

 この世で一体だけだったAIに尋ねてみた。

【…ナカマ…チガウ……ケンジ、……ダイジ】

 カタコトばかりで話すのは、たぶんアバターでしかなかった初期ケンジを自らの複製体へと上書きした際に言語変換機能を譲渡しすぎたからなのだろう。

 もちろん、もともとその機能を作りこんでなかったのも要因だとは思われるが。

【健二さん。あんまりラブマシーンをいじめないでください】

 ラブマシーンにだっていろいろとあるんですよ。考えてることが。

 まるで保護者か嫁のようにラブマシーンをかばった初期ケンジが、よしよしいい子ですねなんぞといいつつラブマシーンの頭を撫でていた。

 ―――いちゃつかれた。

 まさしくそう思った。

【ぼくらは仲間が欲しいんじゃないんですよ、健二さん】

 欲しいのはAIじゃないんです。

 いつも笑ってるくせに、大事な時はいつだって真剣な表情だった俺の一人目。

 

【ぼくたちが欲しいのは仲間ではなく、―――――――――影です】

 

 シンクロ率を上げることでまるで彼等は一対の形であるようだった。

 違うのは姿と会話の経験値。

 ラブマシーンがそのハッキング機能を優先的に要するというのなら、初期ケンジは倫理と交渉を武器にした。

 アバターというOZにおける人対人の対話を常に見てきた存在として、彼は人というものを理解しやすい位置にいたから。

 

【たとえば、彼が壊れたならぼくは彼になれるでしょう】

【ですが、ぼくが破損したら彼はぼくになれません】

 

 重ねてケンジは言った。

「―――その意味は?」

 自然、問うた小磯健二の問いに彼が答えたのは。

 

「―――主はラブマシーンというハッキングマシーンであり、その彼を守護するのが陰であるぼくだということですよ」

 

 

 証明終了(Q・E・D)。

 

 

 まさにそう告げるように一対のAIたちは再びゲームへと戻った。

 画面の前でそれを聞いた小磯健二はというと。

 

「まさにこれぞファンタジーの証明ですか?」

 

 掌で両目を塞いだ研究者の口元は、嬉しそうに笑っていたらしい。

 

 

 ――――――――――――――→  へ

 

 ラブマシーンは上手に「健二さん」と云えなかったため「kk」と呼んでいます。公式小説第二弾ネタより借りたよ!(ぺこり)

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映画「サマ―ウォーズ」が大好きです。
健二さん至上主義。カズケン信者。栄さま神格化傾向あり。――――――です(笑)。

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