「政略結婚に異議あり！」④

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１０．０２．１７

　言われた本人の答えは、心のうちでしか漏らすことは許されなかった。

　――――すいません。帰りたいけど帰れないんです。

　ばったばったと、ストレス発散のための砂枕を投げ飛ばして蹴り飛ばす。――――そんなあなたは、ＯＭＣ王国の誇る帝王…ちがった、国王の佳主馬だった。

　どかっ！　ばすっ！　げしっ！　だんっ！　ゲシゲシゲシ！！！！

　ところは、少年王といえども、間違いなくこの国の最高権力者の私室。

一室が、トレーニングルーム扱いになっているのはこの国の特色ゆえか現王の趣味か。――乱立された武具の類が、使い込まれた輝きを発していることが最も恐ろしい――そんな、佳主馬の私室である。

「やあ、ご機嫌だね」

　『ご機嫌斜め』と書かれたオーラが体中から上っている佳主馬に、そんな声をかけれた貴方は勇者です。

「―――――」

　怒りもおさまらぬままに、ぐるりと振り向いた佳主馬の目線の先には細目の怪しげな笑みを浮かべた４１歳の大臣様。―――――理一である。　

　まっっっっっことに……楽しそうだ。

「――――」

　だれがご機嫌だって？

　怒りマークとセットで、佳主馬が目線で人を殺せそうな表情で理一を睨みつけていた。

「いやいや。まさか、キミにツンデレの素質があったとは思わなかったよ。いや、奥の深い出会いの場面だった」

　で、デレる場面はいつ見れるんだい？

　意味不明の発言が聞かれた。――佳主馬にはわからない。（１４歳ですから！！）

「……ツンとかデレとかわけわかんないこと言う前に、人の私室に無断で入ってることにはなんか言わないわけ？」

　社会的な立場を持つ者として、どうなわけ？それ。

　この国の第二位の権力者に尋ねた佳主馬だった。

「失礼。ノックはしたのですが、聞こえてないようだったので入らせていただきましたよ」

　嫌味に優雅な宮中立礼で、理一が佳主馬に告げた。――――キザというよりイヤミである。

　まあ、確かに。

あれだけの勢いで投げる、殴る、蹴る、払う、としていたわけですから。

　…聞こえんわな。ノックなんか。

「で？　どうだった？　―――君の花嫁との対面は」

　ぎしっ。

　砂枕の革が軋む音が再度聞こえた。

　ばしん！！！

　叩きつけられた瞬間に、あわれな砂枕は寿命をまっとうして破れ果てた。

　…いや。展開考えるのが難産だったんで。――スイマセン。

　どうにも、こんな展開が趣味の様ね。私ｗｗ

　第一印象最悪。→ラブラブ。展開。＾＾；

………なってね？

―――はい。

[2回]