「――なぜって…そりゃあ…」

　ああ、言うのか。

「　そいつの開発者、俺だもん　」

　―――まだ理解せぬ己の罪を、あなたは誇らしげに言うのですね。

　夜の闇が深い今日。―――明日は朔の日。

「―――――俺、頑張ったんだよ。…この家に胸張って帰れるようにさ」

　童心に帰ったような顔つきで。

「―――ジジィが生きてた頃以上の大金がこの家に入るんだぜ！」

　優しい慈母を慕う子の姿で。

　けれど。

　――――。

「これも、みんなばあちゃんのおかげさ。――なんたって―――」

　がっ、しゃあああああんん。

　侘介の言葉は、続かなかった。

「――その先の言葉は言わないでください」

　侘介を殴り倒した健二の言葉。

　殴った拳が、じんじんと痛い。

　―――この時だけは。

「あなたが、――言おうとした言葉は、自分のしてきたことの責任を他者に押し付けるものでしかありません。

　４１歳にもなって。

　…我慢なんて、出来なかった。

　ねえ、知っていますか？

　あの人がどれだけ貴方の帰りを待っていたのか。

　貴方に出会ったその日から、あの人は朝顔が好きになった。

　なのに、貴方は。

「お、お前におれのなにがわかる！！」

　殴られたときに切った唇を拳で拭きとりながら、侘介は叫んだ。

　分かるものか。

「わかりません。―――わかるはずもない」

　だって、そうでしょう？

　健二は、その顔を上げる。

「――あなたにだって、僕の気持ちがわかるはずもないのだから」

　そして。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　了　ｂｙ御紋

　え？　ようやく、お試しシーンまできただと？

………。

　だって、家族のきずなの物語りってさ。