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あきらさんへの捧げもの。2/14vr.①


 仮子とキングのはず。

 …なぜこうなった。


「キミと会えた、その再生の時間」

   

          2011.02.13.


 ゆで卵って知ってるよね?

 ちょっと日が経った殻つきの卵を小鍋に水と一緒に入れて、沸騰した数分間放置するんだ。

 茹で上がったら数分間冷まして水の中で殻をむいたらつるんつるんのゆで卵がでてくるっていう基本なお料理の一つ。

 できたてのほかほかゆで卵はとてもおいしくて、ついついもう一個とか思っちゃうけどカロリーを考えるとやっぱり我慢。

 ダイエットなんて考えてないけど、やっぱり健康が一番だから。

 ああ、でもやっぱり美味しいんだ、ゆで卵。


 まあるい、まああるい黄身のような色したものがそこにあるんだ。

 近寄れば小さな寝息の音がして、頬笑みが自然と浮かぶ。

 そして思うのは美味しそうだっていうこと。

 ―――ねえ、食べてもいいのかな? このまあるいまあるいぼくのためのキミを。

「……ん……?」

 何かいいましたか?

 震えた柔らかな黄色の尻尾は完熟じゃないね。半熟玉子なのかな。

 でも、そのほうが滑らかできっと美味しい。

「!!」

 するりとその柔らかな尻尾に手を添えて、揉みこむように撫でた。

 それはまるで食べる前の儀式のよう。

 美味しく食べる前に君の殻をむかなくちゃね。

「―――キング…さん?」

 不思議そうに震えを帯びた声で、君が訊くから。

「なあに? ケンジさん」

 眠っていてもいいのに。

 もぞもぞと動いて、黄色の塊のようだった尻尾のなかからキミの姿が現れた。

 ふにゃんと困った顔した黄色の耳をつけたキミを「ケンジさん」と呼べるのは、俺だけに許された特権。

 他の皆には「仮子」って呼ぶようにと頼んでいたキミのことは皆が知ってるからね。

「…どうしたんですか? キングさん?」

 今日はなんだか変……。

 呟こうとしたキミの唇へとそっと指をあてて、沈黙をお願いした。

「……?」

「―――今日は静かにね」

 小首を傾げた彼女の唇から指を外して、代わりのように俺の唇を置いた。

 少しだけずらした唇の間でキミの声をむさぼり喰らう。

 ああ、やはり美味しいね。

黄色い彼女を抱きしめて、白い俺は幸せを知る。

永久に。




  沈黙のなかで交わしたものは一体何だったのだろう。

 恋はあった。

 愛もあった。

 飢餓があったといえば、俺はキミに怒られるのだろうか。




 小さく生えた柔らかな毛を地肌の下を撫で上げるようにして触れれば、キミはぴくりと動いた。

 怯えるようなその姿さえも愛しいと思いながら、それでも最後には美味しそうだと結論がつく。

「ねえ、ボクが好き?」

 耳に届くのか届かないのかそれさえも判らないような低い小さな声で尋ねれば。

「―――好き、です」

 やはり耳にようやく届くような小さくて細い声で、彼女は呟いた。

 舐め上げたうなじの後ろから彼女の耳を見つめると、そこには赤い色が生まれていた。

「―――これは困った」

 黄色の筈の卵の黄身は、いつのまにやら赤く染まっていたらしい。

 これではゆで卵というよりも赤い卵だ。



「…ケンジさん、知ってる? 赤い卵は祝福なんだってさ」

 神様が人類を再生した証が、赤い卵。


「ありえないものがあったから、神様は誕生したと認められたんだ」


 キング、さん?


 涙さえも浮かべながら、怒りもしなかった俺のキミは呟いた。


「―――なんでもないよ。ただ、…キミに逢えてよかったとおもっただけだよ」


 背中に抱きつくようにして、彼女を覆った。

 ゆで卵のように白い俺が、黄色いキミを覆うように。

 再生があればいい。

 一度、死んで。

 二度、生まれて。

 ――――永久にキミを守り続けて死に続けられたなら俺は幸せだろう。


 永遠の恋人で、永遠の俺の基。


「―――大好きですよ、キングさん」


 彼女の頬笑みには、もはや母のような無償にも近い愛が溢れていた。



「俺もだよ、ケンジさん」



 たとえ、この世が滅びても。

 キミの傍で繰り返し、混じり会いたい。




 ―――それはキングカズマがOMCにおけるチャンピオン防衛を果たし、殿堂入りとされた日の物語り。





          了 by 御紋




 



   -―――――――――→ ② 《仮子

 

 

 

 

  なんというか、どっちかというとイースターのようなお話になりましたな。
 ごめんなさい。

 

 

 

 

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