ちょっと、鬱ってみた久遠寺さん？

「黒く、黒く、ヌレテ、生きて　――歩んで。」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１０．０６．２８．

肌がべたつくような暑さと思いきや、薄い夏服では少し肌寒いかと思う今日のような日もありまして。

「…にしても、これはなくないか？」
　あんまりだろう。

　健二の奇行に、佳主馬は突っ込んだ。

「…？  ああ、佳主馬は 初めて見たか」

　かたかたかたこん。
　床で転がる友人の姿に突っ込むことなく、パソコのキーボードを叩いていた佐久間だった。

「そうか。ちょうど周期に出くわしてないのな」
  うん。

　ーーひとりで納得されても困る。

「たまにあるのよ。放っておくと自然回復するから」
　…弄ると、暴れるからな？

　健二を起こそうとしていた佳主馬に、くぎを差した友人歴二年めの佐久間だった。
  因みに、佳主馬は一年未満。まだまだです。



  ぽたりぽたり。
　雨が降る音が聞こえる。

「傘、持っていきなさいね？」
  うん、分かってます。
「お父さんから、いつもの録画おねがいだって！」
  また？ 前のちゃんと見たの？ あの人。
「あの人いうな！ あんたのお父さんでしょ！」
  わかってるから、止めて。ほっぺた痛い。
  びよ―――ん。
  マニキュアの綺麗な指で、摘まれたほっぺたが痛くは無いけど邪魔です！

　何も、不満なんてないんだ。本当に。
　だって、知ってる。ちゃんと愛されていること。
　悩みがないとは言わないけれど、でもダチと喋って、愚痴を言い合って。
　莫迦なことだと笑い飛ばす。不安も悔しさも何もかも。

　だけど。

　ぽたりぽたり。
　染み入るような雨は、アスファルトの地面を濡らして、染めて。

　――侵食されていく。


　　　　　　　　　　　　　　「　真っ黒だ　」



　乾いた灰色の奥で、濡れて露わにされる何かが潜んでいる。


　寂しいのかい？


　問われた言葉に、否定できる者がどこにいるのかと逆に問いたい。
　寂しいからこそ、みな笑っているのです。

頼りながら。

支えながら。

ときには、差し伸べられた手を振り払いながら。

　―――生まれ落ちたそこが、あんたの歩いていく道さ。

　カラカラと笑い飛ばす貴女に礼を述べて。


　僕らは今日も笑います。


　暗闇さえも、笑い飛ばせる日がいつかくると願いながら。



　　　　　　　　　　　　　　了 ｂｙ 御紋

　五月病？　いいえ、青春病です。　
　いつまでも、抱え込んでけ。それが、君が生きてる証だ。

　ちなみに、上田観光の移動待ち時間にぽちぽち打ってたと言う。

　パソコじゃないと打ちにくいよおお（涙）。

[2回]