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二次創作、版権に絡んでおります。 やおいが分からない方、嫌いな方は訪れないことをお勧めいたします。申し訳ありません。 pc・携帯両用サイト。 (検索避けスミです)

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みーコさまに捧ぐ! ☆10  (後)

 リク話の後篇です。


 

 月の高い夜だった。

 森の多い和国のなかで、竹林のなかに立てられたその離宮で、健二は聞いた。

「――どうして、お月さまを褒めるの?」

 美しいことはかわらないのでしょう?


 そんな疑問に答えてくれたのは、誰だったろうか。


 ――大切だと思う人と、語りあうことが大事だとは思わないかしら? 月を間に、綺麗なモノを綺麗だと感じる心を伝えあうことが素敵なのよ。


 今では長兄の嫁になったその人は、傍らで眠る兄の頬をつねりながら答えたものだった。

 

 

 

 

 

「えっと、明るくて綺麗」

「…静かなのに、可愛い」

「空の中心にいて、なんだかほっとします」

「…優しいかんじがする」

「一生懸命、胸を張ってる気がしますね」

「…誰かを幸せにしたくなる」

 

 ―― 居たたまれないわ。

 侍女の役割をしっかりこなしている佐久間敬子は、強くそう思った。

 敬子の前では、一応の主である健二とOMC王国の国王であるキングがいるわけだが…。

 今日の名月に気づいてお月見をしようと述べてきた主の希望を叶えようと搬送したのは、自分である。

 時節は秋。今年の新米から作られたお団子は少しだけ甘みを帯びた美味しい出来になっているはずだ。用意した酒も果実酒も、同じく。

 だから、敬子が現在居たたまれないのはお月見そのもののせいではないのだ。

 そう、彼女が現在居たたまれないのは――。

 

「遠くに離れてしまっているので、近寄って手をつないであげたい気がします」

「…追いかけて、宝箱とかにしまいたくなる」

 

 健二とキングは確か、今日の名月についての褒め言葉や感想を述べているだけだったはずだ。間違いない。

 だが、聞いているこちらはすごく居たたまれない。

 敬子の反対側で、二人を見守っている女官長は、うるうると眼をうるませている。今のハンカチは、もう2枚目か?

 目の前の二人は、時折月に眼を遣りながらも、どちらかというとお互いの顔を見つめて感想を言い合う時間の方が長い気がしてならない。

 

「うーんと。…格好いい」

「…僕は?」

「ふえ? ――なんか言った? 佳主馬くん」 

 

 月に嫉妬してるキングを見つめて敬子は思う。――これ、なんの拷問? と。

 彼女に言わせれば、これはもはやバカップルによるバカップルのためのバカップルデートに他ならなかった。

 敬子の姉である尊は過去にこう言った。

「綺麗なモノ、格好いいもの、自分が善と思うモノ、美と思うモノの中には、その人が好きになる人の性質がそこにつまっている」と。

 だから。

「――月を褒める言葉は、恋人を慕う言葉でもあるのよ」と、彼女はそう言い切った。

 …だからか、婚約者をいいくるめてまで月離宮でのお月見を催わせたのは。

 さすがです、お姉さま。さすがです。

 敬子にとって尊敬すべき姉は、素晴らしい薫陶をいつでも皆に与えてくださった。――一部へのトラウマも形成しているようだったが。

 うん、ちょっと脱線した。

 とりあえず、いいたいことは…。

 

「…なんでもないよ」

「そーう? 」

 

 若干ふてくされた顔で、月に嫉妬してしまったことを隠したキングは、首を傾げた健二の表情につい顔を隠した。

――青少年、頑張れ。

そういうことです。

 

「―― 素晴らしい催しがありますのね、和国には」

「ええ、まあ。一般的かはあいまいですが」

 

 いつのまにか敬子の傍へと寄ってきていた女官長が、頬を染めつつ絶賛した。

 気付かれてるな、この裏の趣旨。

 和国の婚活重視だった時代背景のもとにに成立した風習である。――お見合いコンパもどきに扱われてもしかたないのだろうか。

 まあこの二人の場合は、仮とはいえども婚約者扱いになっているので、問題があるのかとも思わないでもないが。

 一厘さしの花器に挿した薄の穂が揺れていた。

 バカップルたちは、まだ月への褒め言葉という名のお互いへの告白を続けている。

 

「…美味しそう」

「…お腹へったの? 佳主馬くん」

 お団子、たべようか?

 

 ―― 少年という割には健二よりも肉食なようだなあとキングの言葉に実感しつつ、敬子は飾り用ではない団子を二人分皿に盛った。

 

 ―― さて、美味しそうなのは月なのか団子なのか健二なのか。


 結論が出るのは、意外に早く訪れそうだと思うのは間違いではあるまい。

 

            了 by 御紋

 

 

 

ぎゃあああーす、書いてみたらあまりに砂が履けそうですなにこの甘ったるい二人―。悶える。^p^

はっ、失礼しました。

み―コさまへ捧ぐ! です。

お月見のイベントがどういうものかよく分かってないのですが、まあえせファンタジーならではの妄想解釈を付け加えてみました。こんなんだったら、いいなw

ご希望のほのぼのラブ話に値するかはわからないのですが、これをお納めいただけるなら幸いです。ほのぼのかどうかに自信がないのです。(汗) 

 ちょっと、分かりにくいラブ話ですいませんでした!><

 みーコさまのみお持ち帰りOKです。よろしければどうぞ。

 

 今回への企画への御参加、ありがとうございました!

 

 

 

 

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映画「サマ―ウォーズ」が大好きです。
健二さん至上主義。カズケン信者。栄さま神格化傾向あり。――――――です(笑)。

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