夏希視点①

「心のなかがひどく散乱しているのです」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２０．０５．０８

　思い出すのは、出逢ってからの一年と３カ月。

　楽しかった。

　優しかった。

　大好きだったから、大好きな人を紹介したかった。

　そんな思いがあったのに。

「おばあちゃんだって、そう言うよ」

　怒ってやってきた理香さんと直美さんが、そう言ってきた。

「――きっと、なにかわけが…」

　…言い繕おうとした言葉は、途中で消えてしまった。

　女性たちは一か所に集まって、栄のために持っていくべき荷物を用意し始めた。

　着替え、保険証、お財布　判子。

　それは、付き添って行った万里子や万作の分も必要で。

「おばさんに万作おじさんの荷物の用意だけしてもらおうか」

「そうね。持っていくのはうちの旦那たちでいいでしょうし」

　言ったのは、頼彦さんのお嫁さんの典子さん。

　みんなの心はざわついたまま、それでも現実を見据えた陣内家の女たちがそこにはいた。

　怯えて呆然となった子供たちは隣の和室にまとめられて、奈々さんと由美さんが守りをしていた。

「夏希。――あんたも、休んでおいで」

「そうね、子供たちをみてやってちょうだい」

　ひどい顔をしていると思われたのだろうか。

　まだ現実に帰れない少女を振り返って、女性たちが言った。

「――――うん、わかった」

　答えた自分の声は、壊れたなにかのように聞こえた。

『―――容体は安定したよ。　まだ話すことはできないが』

　その知らせに、誰もが喜んだ。

『最初の処置が良かったんだろう。多少の後遺症は残るが、考えられる限り最善の処置をとることが出来たよ』

　電話の声はデジタル化されていて、聞き取りにくかった。

　それでも、その意味は通じた。

　理由は、交通の混乱のせいだ。

　陣内家から離れた位置にあるその病院の周辺は、まだ昨日の混乱を受けて混雑していた。

　そして。

『来ても、面会は出来ん。―――しばらくはＩＣＵで様子見だ』

　主治医である万作が、そういったことも大きく影響している。

　聖美さんだった。

　すとんと聖美さんが横に座った。

　たった二日だ。

　たった二日の間に起きた全てが、夏希の心のなかをめちゃめちゃにしたのだ。

　…二次創作ならでは。

　だって、パソコがない。＾ｐ＾（ご都合主義ですいません）

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