二次創作、版権に絡んでおります。 やおいが分からない方、嫌いな方は訪れないことをお勧めいたします。申し訳ありません。 pc・携帯両用サイト。 (検索避けスミです)
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2月からは、毎日というか平日限定連続更新は出来ないと思います。
呑みだけは早めに投下するつもりですが。
よろしくお願いします。
19
「約束したね。―――生きようと」
彼の人は呟いた。
「人を守りながら生きようと――約束したね」
二人で。
微笑むその人は美しかった。
「貴女はっ……」
つづく言葉を言い淀んだのは、ほんの一瞬。
脳内を廻ったのは、今に至るまでの全て。
「―――― 最後まで、母となるつもりですか」
慈母となりつづけるつもりですか。
ようやくひねり出した言葉が、夏の夜の空気を渡る。
「健二さん」
制止するように言われた言葉を覚えている。
「そうではないんだ。―――私は母になりたいのではないんだよ、健二さん」
「では、どうして!」
感情が湧き溢れた。
「どうして、それほどに貴女が侘介を守ろうとする!! あいつが犯した罪を、なぜ貴女がそこまで償おうとするんだ!」
――予感があるんだよ、健二さん。私はきっと今日死を迎える。
一度目の薬を呑んで一度は血圧は下降した。けれど、二度目の発作が起きた時、それが間にあうとは限らない。
明け方にこそ血は濃くなり、その粘調度を増し、発作を引き起こしやすくする。
ましてや、今日の彼女の労作は通常のはるか5倍を超えるものであったことは確実で。
ガタがきている心臓にもう一度の発作があらわれたとしても、なんら不思議はないというのに。
なのに。
――私は、もう薬を使わない。
それを誰よりも識っていた筈の人はそれを拒否した。
――私は私の命を誰よりもよく使って見せよう。
たった一人の育ち切れなかった子供のために。
人を守ってこそ自分を守れるのだと、言い続けた陣内家の生き方をもう一度その子供におしえるために。
「―――そんなことは、狂気でしかない!!」
止めようとする自分に小さく指を立てて「静かに」と述べた人は、手に持っていた花札を膝の上に伏せた。
「―――狂気とはよく言ってくれたものだ。けれど、わかっておくれ、健二さん」
伏せた花札を見つめていた視線が俺へと向けられた。
「私は母になろうとしているんじゃないんだよ。―――『母』なんだ」
あの子の。
退くことを良しとはしない武士の瞳がそこにはあった。
「―――貴女の子供たちはまだいますよ」
万里子さん、太助さん、万作さん。
最後の抵抗にそう付け加えた。
「そうだね。だけど、あの子たちはもう私の手を離れたよ。―――あとは、あの子たち自身が何を良しとして何を悪しとして進むかということだけだ」
私はそうあの子たちを育てたからね。心配はいらない。
そう告げたのは誇らしげな母親の顔。
「だけど、あの子はまだ知らない」
あの子には、まだ教えてあげられなかった。―――それは私の後悔となるだろう。
苦しげに述べた人は言う。
「約束したね、健二さん。あの夏の日、――人を守りながら生きようと。……それは喜劇だっただろうか。…愚かだっただろうか」
それほどの命への執着は、愚かだったろうか。
「そんなことはないっ!!」
淡々と最後の一言を告げた大奥さまの言葉を一言に否定する。
「生きようとするために守る人となろうとすることを愚かだとは誰にも言わせはしない! だって…そうだろう?」
――守られてきたからこそ、今度は守っていきたいと思うのは人の紡いだ優しさの歴史があったからだ。
祖父に、祖母に優しく守られて生きてきた。
大奥さまに、大殿さまに守られて我々はいきのびたのだと俺は教えられてきた。
では、今度は。
俺が守りましょうと、胸に決めた。
嬉しかったから。
守られて、愛されて、嬉しかったから。
今度は現在未来へと続く、ともに生きる人に、子に。
上手な愛し方は知らなくても。
この手で精一杯守り導く手段を探したい。
愛してくれた人たちがしてくれたように。
守ることが生きること。
生きることが守ること。
――――それが俺の誇りとなるでしょう。
たとえ、何度失敗しても。
そうあろうと足掻き続けることだろう。
「俺は、この人生にこそ執着してみせましょう」
人を守ってこそ、自分を守れる。
――そんな夢を、見続けて生きていく。
―――――――――――→ 20 へ
…だから字数の限界がだな、……。(涙)
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映画「サマ―ウォーズ」が大好きです。
健二さん至上主義。カズケン信者。栄さま神格化傾向あり。――――――です(笑)。
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