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二次創作、版権に絡んでおります。 やおいが分からない方、嫌いな方は訪れないことをお勧めいたします。申し訳ありません。 pc・携帯両用サイト。 (検索避けスミです)

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41歳健二さんの呑み! ⑰-11
ん?
18日投下し忘れてた。

……ということで、その分投下。

41歳健二さんである。

 

   11

 

 

 

 涙をこぼす資格など。

 涙をこぼす資格など。

 

 己に与えられる筈などなかったのだ――――本当は。

 

 

 

 

 

 画面の奥で鳴いているのは忠義の犬。

 見えもしないだろう天上からの悪意に対して、警戒するように吠えている。

 ―――真の忠義者とは、いまこの大地にすくと立ち悪しきを咎める彼のことをいうべきだったのかもしれない。

「ここに“あらわし”を落とす気!?」

「それ以外のなにがある!」

 直美と克彦さんが叫ぶ。

 まだ解体はおわらないのかと侘びに叫んだ直美に対して「いまやってる!」ともう一度返すのは当然の返事だった。

【あと十分を切った!】

 画面越しに敬が叫んだ。

 大人の配慮も無視してこっちのことまで見てたのかよ敬。―――やるねえ。

 ワーカーホリックになる素質は十分と見た。

「敬。―――そこまで仕事がしたいなら」

 こちらも遠慮はしないぜ。

 にやりと笑ったのは小磯健二(41)。

 その笑みが子供にとっての「いい大人」ではなく、大人にとっての「イイ大人」にしか見えなかったというのは、画面越しにグロッキーになりつつこちらを窺っていたペンギンアバターの後の時間での言い分だった。

 

 

 

 避難するしかもはや手はないのだと確信したのは陣内家の男たちだった。

 思い思いに、些少なりの持つべきものを抱えて彼等は庭に停めた車へと駆けだした。

 残っているのはまだ諦めていない侘介と俺。

 解体操作は侘びの仕事。

 ラブマの捕獲はケンジの仕事。

 なら、俺の仕事は――――。

 

「敬。――管理棟にラブマシーンのログは残っているか?」

 調べてくれ。

 

 目に付いた己のメモ代わりのレポート用紙とシャーペンを荷物から出して。

 最近どうにもプログラマーの職業病である近視が目立つので、より大きな数字が見える大画面のpc前へと移動した。

 例の大勝負は終わり画面は静かに沈黙している。

 だったら俺が使ってもいいだろう?

【――わかりました!】

 いますぐ見ます!

 敬は素直でいいやつだ。――なのになんで彼女いねえのかねえ。不思議不思議。

「――まだ何かする気?」 

 キングカズマの中の人は、大事なノートパソコンを抱えたままで聞いてきた。

「ああ」

 俺は諦めが悪くてね。

 先ほどまでキングのPCが接続されていた場所へ、己のそれを繋ぐ。

 ――――画面を補正する。

 敬が送ってきたログが現れた。

【でました、健二さん! 足跡くっきり!】

 にやりと笑ってみせる。

「うっわ、ワルイ顔してるよ。健二が…」

 あとが怖いなあ、あれ。

 顔をひきつらせてこっちに言い放ったのは理一の野郎だ。放っとけ。

 キングとはまた別の意味でのタイピングだが、まあそれなりに早いタイピングでかたかたと画面を開いていく。

「侘び! そっちはまかせた! 俺はこっちに集中するから!」

 背を向けたさっきまでの場所に声を投げかけて。

「ああ」

確かな返事を受け取った。

。っわ~

「…任意の変更はもう出来ないんでしょ?」

 かちゃかちゃとキー操作を続ける健二へとOZの有名人は尋ねた。

 理解力と応用力は十分にある驚異の中学生だが意外に根っこは素直なようだ。

聖美ちゃんの子育ての素晴らしさがよく理解できた。

「理一! “あらわし”は確かGPS誘導の落下だったな」

 「…ああ」

 それは衛星の落下計画の初期からすでに決まっていたことだ。

 大広間に並べた理一御自慢の自衛隊御用達高性能アンテナモジュールを始終確認していた理一の返答を疑う気はない。

「―――昨日の奴のようにGPSの原子時計にニセの補正情報を送る」

 敬に見つけさせたログを見つめ、さらにそれに接続するための手順を踏む。

「あ……位置情報に誤差が生じて…」

「―――コースが変わる、かも…」

 盲点に気付いたらしき理一と佳主馬少年は続けて呟いた。

 意外にもこの二人ってなんか似てんのかもしれねえなあ。

「―――ただし、あくまでもそれは可能性だ。だからおまえたちはそのまま避難誘導を…」

 そう健二が呟いた瞬間。

 画面に新しい窓が開いた。

「…あ?」

「「「 え? 」」」

 健二が口にした疑問符に、避難を中断して見守っていた陣内家の家族みんながいっせいに大画面のそれを振り返った。

 

 ―――――――…ちょっとまてやこら。

 

「…管理棟の、パスワード…変えてんじゃねえよ! こおらラブマシーン!!!」

 お父さんはおまえをそんな子に育てた覚えはない!!

 

 ひきつる頬で叫んだ俺の目の前で「きしし」と笑ったのはラブマシーンの初期形態。(遊びで作ってやった初期ケンジのパロアバター姿INラブマ。二人でパントマイムして遊んでた姿は和んだもんだった)

 

 

 ―――金色の鍵を手にして、人に狂わされたAIが哂っている。

 

 

 ――――――――――→  12 へ。

 

 

 パパ、再びの雄たけび。

 絶望よりも躾が先。

 そんな彼はラブマシーンと初期ケンジのよいお父さんである。

 

 

 

 

 

 

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活字中毒の自覚ありです(笑)。
映画「サマ―ウォーズ」が大好きです。
健二さん至上主義。カズケン信者。栄さま神格化傾向あり。――――――です(笑)。

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