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ラストひとつ!


 「最強健二さんの改変」シリーズ。

 原作改変部ラスト!


 5月中に、終れるなんて思ってませんでしたよ。(本音)





 

「 生まれたことを祝おう 」

                       2010.05.25.

 

 全てが終わった後、いい知らせが届いた。

 

「――おばあちゃん、目覚めたって!!」

 

 壊れた敷地内の清掃に勤しむなか、一番初めに復旧した電気のおかげで、それはみんなに歓声をもって迎えられた。

 それは、8月1日。

 

 神様の生まれた日。

 

 

 

 

 

白い建物のなか、その人は浴衣のままで、休んでいた。

朝方までは酸素マスクをしていたらしいが、みなが辿り着いた頃にはそれも外されて、喋れるように回復していたらしい。

 

「―――なんだい、皆して」

 そんなに大人数で来なくていいよ

 

 まだ掠れる声のままに、栄は言った。

 

「――おばあちゃん、ってば…」  

 皆で心配したんですよ。

 

 万里子がそれに返事した。

 涙ぐんだ眼元にハンカチを当てながら。

 

「――ほら、残り時間は20分ですよ―」

 

 容赦なく、時間制限があることを知らしめたのは、聖美さんだ。

 

 体調戻ってないのに、大人数の長時間の面会はいけません。

 

 看護師魂が、絶好調です。

 

 

 

 

 

 そうっと、並んで。

 

「…せーの!」

 

 若干ずれるのも愛きょうという、皆一緒で歌う誕生歌。

 

「「「 ハッピー、バースデイ、おばあちゃん! 」」」

 

 涙も交えながら。

 それでも、歓びながら。

 

 皆で、今日を生きてることを――寿いだ。

 

 

 

「「「「 90歳、おめでとう!! 」」」」

 

 

 

 特別だよ、と許可を貰っての誕生会。

 予定していた出し物なんてなくなってしまったけど。

 それでも、何よりも大切な時間だった。

 

 

 

 

 

「――――健二さん」

 

 時間を惜しみながら、皆が去るなか。

 呼ばれた健二は、栄の傍へ寄る。

 

「はい…」

 

 管に繋がれた手が白く、それでもその人の顔色はいいことに安心した。

 ひやりと冷たいその手をしっかりと握りしめて。

 

「――――ありがとう」

 

 感謝を述べられた。

 

「…家族を、守ってくれてありがとう」

 

 涙が、一筋落ちていた。

 

「いいえ、いいえ」

 

その幾重にも重ねられた思いを受け止めながら、健二もまた涙を零した。

 

 

 

「オレは、俺の望みをかなえたかっただけです」

 

 

 

 健二の望み。

 それは栄の存命であり、世界の継続であり。

 家族を守る、という。

 命をかけて貫いた、陣内家の男としての誇りを失わないことだった。

 

「 生きてください 」

 

 それだけが、望みだった。

 過去世のなか、健二を支え続けてくれたこの人に。

 これから生きる健二の姿を見てほしかった。

 

 永遠でなくていい。

 五年でもいい。

 三年でもいい。

 なんなら、半年だっていいから。

 

 

 

 

 

「 貴女の傍らで、生きる道を探りたかった 」

 

 

 

 

 

 二日だ。

 たった二日。

 出逢ってから死に分かれるまでの、その48時間。

 

 その時間の短さと。

 その時間が、健二の人生に与えた影響の大きさ。

 

「―――私が、もう残り少ない命だとしても?」

 

 栄の主治医として、万助は語った。

 命は取り留めた。

 だが、後遺症は残るかもしれない、と。

しびれの残る足元を見詰めたあと、栄は健二に言った。

 

 

 

「…生きることは辛いこともあるから」

 

 それは真実。

 涙をこらえる日もあれば、屈辱と後悔で眠れぬ日もあるだろう。

 笑う日もあったし、命の誕生を天に感謝した日もあった。

 生きることは、いろんなことを含んでいる。

 

「――生きるための道標になってほしい、と」

 

 すがりついた、愚かな私を許して下さい。

 

 

 

 白い病室のなか、神様に祈ったものが一人。

 

 

 

 懺悔の声は、神様に許されて。

 

 

 

 今日も、空は快晴である。

 

 

 

《――――――世界を、ありがとう》

 

 

 

   了 by御紋

 

今生編(原作改変編)終了

 そして、もう一つ。

 

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