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自然は偉大だという話。



 私は、竹のさざめく音や海鳴りの音が好きです。
 笑いだしたいほど、癒される。

 ―――原体験は、実家にあった竹藪なのかもしれませんね^^


最弱健二さんの物語り。④

「いま在る世界は、人を癒す」

                              2010.07.12.

 

「握って…」

 まだ世界がみえないような表情で、篠原夏希はそうつぶやいた。

「手……」

夏の日差しが陰を濃くしていた。

座った縁側で、彼女は握りしめた拳のなかで、一つだけの指を伸ばしていた。

それは、芽生えた盛りの朝顔の芽のような。砕け散った勇気の欠片のようにも見えた。

「 ――― 」

頼まれるままに、その指を握りしめる。

泣き出した姿に、決意を固めた。

 

 

 

「 貴女は、それほどに弱いのですか? ――前を見てください、夏希先輩 」

 

 夏希の涙が枯れる頃、健二は呟いた。

 

「――空は青く、風は吹いて。――朝顔が咲いている」

 

 目の前にそびえる光景を、夏希は閉じたままだった瞳を開いて見つめた。

 

「 ――――世界は、まだ生きているんです 」

 

 

 

 

 

 誰よりも死を見つめてきた少年は、生きるための勇気を振り絞ることだって、知っていたのだ。

 

 

 

                                 了 by御紋

 

 苦しみは幾つもあるけれど、呼吸苦ほど死を感じさせるものはないらしい。

 死と真正面で相対させられるということだ。


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