二次創作、版権に絡んでおります。 やおいが分からない方、嫌いな方は訪れないことをお勧めいたします。申し訳ありません。 pc・携帯両用サイト。 (検索避けスミです)
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―――――――。
がたん。
墜ちた。
いや、痛くはないんだけど、――もうちょっと丁寧に扱ってくれないかい?
口を酸っぱくして、御先祖さまは丁寧に扱うようにって教えたはずなんだがね。
「……」
がら…
「温泉だ」
「――温泉だ」
「温泉がでたあああ」
ん?
なんのことだろう?
と…。
………。
――何があったんだろう、これは。
我が家の敷地内から噴出しているあれは、どう見ても立派な温泉だった。
…こんな日がくるとはねえ。
「あら……生きてる、わ」
万里子。
呆けた表情でいいなさんなよ、そんなに簡単に娘と再会してたまるかい。
「みんな、大丈夫か?」
「けがはしてねえか?」
万作、万助。
―――おやおや、いい年寄りが若者をかばったのかい?
なんともいい男に育ったもんだ、ウチの子は。
老けたも若いも関係なく、守れる男がいい男なのさ。ウチの家系はね。
「おーい、みんな大丈夫かー」
「じゃあ、おれ近所みてまわってくるわ」
「俺、仕事場行って、人手借りてくる…」
忙しないねえ、おまえたち。
体力自慢の若人は、さっさと仕事をしておくれ。
まあ、言われなくともしてるみたいだけども。
ふふふ。
かたん…。
「…よかった、大丈夫だったか」
ばあちゃん。
―――――本当に、この子は…。
ええ、ええ。大丈夫でしたよ。
お前も大丈夫でよかった、侘介。
一番に、私に気付いてくれた子供。
「ばあちゃん! 今助けるからな―」
――翔太。
もう、『私』でなくなった方の身体を大事に考えてる思春期の孫を、どうすればいいものかと考える。
死んでしまったモノは、もう物にしかなれない。
死者は、生者の輪から外される。
それが過去からの共通認識。
いつか、わかるだろうか。
…いい嫁さんを探してくれればいいんだが、――ふう。
「こら、いいかげんに戻っておいで」
「「「はーい」」」
爆風で散乱した我が家には、危険なモノが一杯散乱しているようだ。
壊れた障子や陶器の欠片。
素足で歩くのは、危険だよ。
うろうろと歩き始めた子供たちを、呼びもどしたのは直美だ。
…子供を得ることなく、離婚を選択した私の大事な家族。
泣きながら、痩せてしまった身体で「ごめんなさい」と言ってきた事を忘れない。
――辛かったね。
「せめて、スリッパくらい履きなさい。ほら、行くよ」
皆の分も持ってくる!
「「「はーい」」」
意外にも、直美は子供たちから好かれている。
先導する直美のあとを、子供たちは素直について行った。
―――可愛い隊列だこと。くすくす。
「ふざっけんなー! ウチの修理費は誰がでしてくれんのよー!!」
ぶるぶると震えながら、電卓を探し出したのは、理香だ。
―――現実的?
まあ、長女だから、しっかりとしたもんだ。
その指先は、怖ろしい早さで動いている。
…佳主馬の技術もかくやというところだろうか。
――職業女性、というのは凄いもんだ。
「姉ちゃん、天災じゃないからなんとかなるさ」
持ち込んできたんだろう、仕事場の機器類の様子を確かめていた理一が笑顔で言った。
―――おまえは、誰に似たのかねえ。
笑顔の裏で、あてのある先に押し付けようとかたくらんでいそうな本家の長男が、すごく不思議だった。
うーん、似てるのはあの人よりも、その弟だね。
県議会に勤めるまでいった彼も、あんな笑顔でいろいろとしてくれた。
そう、いろいろと。
笑顔が彼の自己防衛なんだろうと理解できたのは、嫁いで何年たってからだったか。
――笑顔の下で苦しんでるとき、手を差し伸べてくれる女性が出来るのを待っているよ。
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