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メリーメリークリスマス! 白vr。><。。。。。

 雪降ってますが、クリスマスです。
 年末でもクリスマスです。 めりーめりーくりすます!

 ちなみに、お店には早くもお正月のお節用の商品がずらりと並んでいました。
 福梅と辻占いは、明日の夜勤後に買ってこようと思います。

 この二つがなくちゃ新年はむかえられませんのことよ!!(こだわり)



 一周年を無事むかえたということで、なんとなく最弱健二さんのその後書きかけだったのを思い出しました。
 新しい作品? ・・・・・・・おりじの方で手いっぱいですORZ

 とりあえず、こんな彼のホープだっていいじゃないかと思うんだ。


 最弱健二さんのその後。


 どうぞ、ご賞味くださいませ。









最弱健二さんの物語⑧ その後

「訪れたのは、諦めではなく希(のぞ)み」

             2010.12.22.

 

 

 夢のような夏の日だった。

 荷物を抱えて家に帰ると、心配した顔の両親が抱きしめてきた。

 東京まで送ってくれた太助さんが、にこりと笑っていた。

 

 涙が嫌いだった。

 とくに、身内の流した涙が。

 だけど、今感じる涙はなにか愛おしい。

 

「おかあさん」

「おとうさん」

 

―― 産んでくれて、ありがとう。

 

 抱きしめられたまま健二が呟いた言葉は、彼等に聞こえたのだろう。

 母の涙は増して。

 父が母と健二を抱きしめる力は、より力強くなった。

 

 

 

 

 無理をしただけのことはあって、健二はあの事件のあと倒れた。

 一時期は絶対安静まで指示されたというから、半端ない。

 その時点で家族への連絡はもちろんついてはいたが、OZの混乱が後引くころにそうそう簡単に東京から上田への移動ができるはずもなく、もたつくうちに健二は無事に意識を回復した。

 しびれる手先で検査と加療の同意書に健二自身がサインをして、安静と点滴を中心に対応されたあとで主治医の待つ東京へと帰るだけの体力をつけ終わる頃には、夏はもう半ばを過ぎていた。

 昨今は、情報伝達の方法も手早く、(といってもOZが復旧中のあいだはそうもいえなかったが)――健二の身体は無理しない程度であれば自宅療養で可能なほどには戻っていた。

 

「おかえり、―― 無事でよかった」

 

 眼鏡の佐久間は、小磯家へと訪れて、見舞いといいながら小さな花を持ってきた。

 お土産は?と問われたが、そんなものを用意するような暇などあるはずもなく。

 冗談だと知りつつも、佐久間に「あるわけねーし」と答えてみせた。

 

 

 

 東京のアスファルトは熱く歪み、早朝に地面を濡らした水やりの名残はとうに蒸発して消えていた。 

 近くにある公園でどこかの子供が遊んでいるのか開けた窓からブランコが揺れる音が聞こえていた。

 病状も安定した今、看病は必要ないから仕事に行くよう追い出した父母はいまごろ互いの仕事場で時折携帯を気にしながら働いていることだろう。

 盆に載せて持ってきた麦茶は二つ。

 透明なコップに一杯入れておいた氷は、もう半分が溶けてしまっていた。

 「夏希先輩が心配してた。―― 合宿終わったら絶対見舞いに来るって言ってたぜ」

 団扇がわりのノートでシャツの中に空気を入れようとする光景は、物理部の部室にいるときとなんら変わらない佐久間がそう言った。

 病院での習いのままに、冷房を入れる時も決して25度以下には設定しない小磯家では、この猛暑で過ごすには限度がある。

 冷房+扇風機などという、傍からみればどうよそれとか突っ込まれそうだが実は合理的な気温環境を整えた健二の部屋で二人は喋っていた。

「合宿か、元気だなあ」

 さすが夏希先輩。

 剣道部のエースとして予定されていた部活の夏合宿を無視することも出来ず、入院していた健二を気にしながら先に東京へと帰っていた彼女を思い出す。

「気にしなくてもいいのにね」

 もう、大丈夫なのに。

 日常は既に戻ってきた。

 この脆弱な健二の体にさえも日常にもどったというのに。

「夏希先輩には知らせてなかったからな。――おまえの身体のこと」

 気にしてたよ、知ってたら上田には連れていかなかったって。

「………そう」

 亡とした声で、健二は返事する。

 濃い緑のあの場所での記憶が蘇る。

 土と草の溢れる匂い。

 強烈なまでの夜の在り方。

たくさんの人々との出会い。別れ。―――決意と贖罪。

 悲しみと、怒り。

 愛。

「……なあ、健二」

「…ん?」 

 夏の経験を振り返る健二に、佐久間が問いかけた。

「――今年の夏は楽しかったかい?」

 思いだすのは夏の始まり。

 部室の片隅で汗を掻きながら小磯健二はバイトをしていた。

 何かをしたくて。

 何かから逃れたくて。

『バイトしない?』

 走り込んできた夏希先輩の声に、なにかが止まった。

 今なら判る。

 あの時、自分は生きることから逃げたくてたまらなかったのだ。

「うん、――楽しかったよ」

 答える言葉は、嘘じゃない。

 色んな事があったけど、この夏を過ごしたことを否定することだけは誰にもできはしまい。永遠に。

「だから、――また行きたい」

 上田に。

 また来年。

 言葉にならぬ言葉は、相棒へ届いた様子。

「そうか」

 佐久間のそれは、何かを噛みしめるような声だった。 

 

 

 人に出会い、人を知り、人に負けた。

 代償は大きかったけれど。

 何かを残したいと願った自分の願いがかなったかどうかは、いまでも分からないけれど。

 

「――― いきたいんだ」

 

 先に逝った人に、胸を張って告げたいと思う。

 

 ぼくはいま生きています、と。

 

 

                 了 by御紋

 

 

最弱健二さんのその後。

 彼がこの後奮起して健康になるのか、闘病の結果やはり若年で亡くなるのかは正直想定しきれなかったです。

 どちらになってもおかしくないかなと思いましたので。

 思いだけで寿命が延びるかということですね、勿論、意思によってなにかが変わることやそれがないと基本無理ということも知ってますけども。

 とりあえず。

 書きたかったことはこれで全部つぎ込みました。

 どちらであっても、生きることにアグレッシブになるまでの彼の物語りです。

 一度きりの人生だ、攻めでいこうぜ、アグレッシブに!!!(笑)

 

 

 

 

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映画「サマ―ウォーズ」が大好きです。
健二さん至上主義。カズケン信者。栄さま神格化傾向あり。――――――です(笑)。

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