レンコンくんは、二人兄弟だ。

「でもさ、つまんない」

　最近のレンコンくんのぼやきは、大体がこんな状態だ。

「うんうん、レンコンくんは可愛いねえ。――だけど、掘られるって表現はやめておこうね」

　Ｓが付いたら素敵だが、Ｆがついたら残念になるよね、とはハスネくんの心からの感想だった。

「…ふうん。兄ちゃんがそう言うなら分かったよー。――日傘の準備でもするかあ」

　もそもそと、大きく育った蓮の葉っぱを探し始めたブラコン（無自覚）のレンコンくんだった。

「あ、レンコンくん。葉っぱはまだ育ってないから、もう少し後でいいよー」

　レンコン兄弟は、美白兄弟である。

　酸化しちゃったら、美味しくなくなっちゃうんだよね、僕らは。

　食われる気が満タンな発言者は、もちろんハスネくんの方だ。

「兄ちゃん。コラーゲン、補充したいよう」

　ハスネお兄ちゃんのサプリの小鬢を振ってるレンコンくんに、ハスネくんが説教を開始していた。　

　―――美白ケアの準備にぬかりがないレンコン兄弟だった。

「―――あーあ。早く１１月来ないかなあ」

　レンコンくんは呟いた。

「――そんなに早く、食べられたいの？」

　発言がぎりぎりなのは、ハスネくんの方です。

「うん。だって、俺たち野菜だよ？　ハスネお兄ちゃん」

　にししと笑うレンコンくんの笑顔に影はない。

「…食べて、美味しいって言ってもらいたいじゃん？」

　どうやら、レンコンくんにも立派な野菜としての誇りがあったらしい。

「――そうだねえ」

ハスネくんに褒められたレンコンくんは照れ笑いを浮かべて、ぴょんと飛んだあとミミズを見つける遊びに出かけた。

「――本当にいい子だねえ。……冬になったら、酸素の野郎をめっためたに叩きつぶしに行ってやろう」

　そんなレンコンくんを見送った後、ハスネくんはなにやら物騒な発言をしていた。

　レンコンくんは知らない。

　誰も知らない。

　未来を知ってるなんて、なんの楽しみもありゃしない、とハスネくんはそう呟いた。

　　　　　　　　了　ｂｙ　御紋

　やあ、書いちゃったよ。

　サケオさん、どうしてもこの兄弟はｂｌから抜けられない擬人化だと思います。（挙手）