二次創作、版権に絡んでおります。 やおいが分からない方、嫌いな方は訪れないことをお勧めいたします。申し訳ありません。 pc・携帯両用サイト。 (検索避けスミです)
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すいません。
自分の心を正すために、勘ちゃんに助けてもらいました。
書くことに、こんなにも依存してるなんて思ってもいませんでしたよ。
木下視点
「泣いた赤子に、祝福を」
2010,05,17.
それが、いつだったのか。
多分、それを覚えているものは限られている。
夢のような、影のような。
忘れてしまうことがなによりも正しかった、過去の出来事だ。
ふらりふらりと、その影は夜の庭を歩いていた。
どこの不審者だと思いながら、後をうかがったのは、その日の当直だった木下だった。
暗い暗い、夜闇が光をはねのけた時代のこと。
黒い闇に埋もれたような影は、暗い水面の横で立ち止まった。
その瞬間に重い雲が月を解放したのは、なんのいたずらだったのか。
「―――尾浜、か」
照らし出された影の正体は、木下の受け持ちの生徒の一人だった。
いつも笑顔で、いつも楽しそうで、生きることを知っているようにみえた――子供だった。
「どうした。…自己学習にしてもあまりにも遅い時間だぞ」
はやく、布団に入れ。
魂を置いてきたような表情の尾浜勘右門に、声をかけたのは担任としてというよりは、大人の一人としてというのが正しかったのかもしれない。
それほどに、そのときの尾浜勘右門は危うげだった。
「……子供が」
絞り出された声が、悲鳴のようだった。
圧し殺された、――子供の悲鳴。
「――子供が、いないのです」
月は丸く、雲は黒かった。
木下は、尾浜の後ろに見えた水面から理解した。
光を反射した夜の水面は、ひどく美しく、ひどく――恐怖を呷った。
「――泣いた赤子が、泣かぬのです。赤い赤い血を流したおなごがひとり、狂ったように泣いているのです」
尾浜は、凍りついたような声でそう告げる。
「――ようやく手に入れたのに、ようやく幸せになるところだったのに。―――おなごが泣いているのです」
それは、誰が悪かったのでしょうか。
壊れた心で、勘右門は問うた。
その目が、怖い程に美しかった。
それは断罪の刃のようで。
「―――尾浜」
何を言っている。
震えそうになるその手を殺して、木下は尾浜の肩を掴み取った。
ひどく冷えた肌だった。
まるで、尾浜勘右門自身こそが生きてはいないように。
「―――私は、どうすればいいのでしょうか」
その呟きのような嘆きの言葉は、最後まで続いた。
埒があかぬと、木下自身の手によって尾浜勘右門が気を失わされるまで。
誰もいない尾浜の部屋の布団にねかしつけたとき、閉ざされたその瞼から落ちた涙があったことだけは忘れられない。
了 by御紋
…ごめんね、勘ちゃん。
そしてありがとう、代わりに泣いてくれて。
結婚の連絡と妊娠の連絡を一緒にくれた友人へ。―――一緒に泣いてあげたかったんです。
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健二さん至上主義。カズケン信者。栄さま神格化傾向あり。――――――です(笑)。
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